高速馬場のセントライト記念(2018年)はディープインパクト産駒が好走するのか?ーー展望

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9月17日(月・祝)、変則3日間開催の中山最終日は、菊花賞トライアルの「セントライト記念(GⅡ・中山芝2200m)」が組まれています。

1人気に推されるのはC・ルメール騎手が「兄レイデオロ以上の素材」と惚れ込むレイエンダ。春のクラシックに間に合わなかった素質馬が、ここでどのようなレースをするのかに注目です。

レイエンダの他にも、NHKマイルC2着のギベオン、共同通信杯を制したオウケンムーンなどの春の実績馬が出走を予定しており、見応えのあるレースが期待できます。秋のGⅠへ向けて好スタートを切るのはどの馬なのでしょうか?

 

秋の中山開催はディープインパクト産駒向きの馬場

今開催の中山芝コースは、秋華賞トライアルの紫苑S(GⅢ・中山芝2000m)で1分58秒0の好タイムがマークされたように、かなり軽い馬場となっています。また、上り3Fが速いのも特徴で、ディープインパクト産駒に向く馬場コンディションと言えるでしょう。

9日(日)のメインレースに組まれた京成杯AH(GⅢ・中山芝1600m)は、ディープインパクト産駒のミッキーグローリーとワントゥワンのワンツー決着。このレースは前後半800mが46.9 - 45.5(1.4秒の後傾)のスローペースとなったため、上りの速いレースとなりました。

ペースが少しでも緩めば、1F11秒台前半の上りがマークされる馬場ですから、小回りの中山コースであっても、しなやかなストライドで走るディープインパクト産駒の差しが届きます。

 

セントライト記念に出走予定のディープインパクト産駒は?

セントライト記念に出走予定の17頭の内、ディープインパクト産駒は以下の4頭です。

エストスペリオル

ギベオン

ゼーゲン

ブレステイキング

(50音順)

上記の4頭はすべて社台系ファームの生産馬で、ギベオンを除く3頭は堀宣行厩舎の管理馬。う〜ん、4頭のどれかがサクッと好走するシーンがパッと目に浮かびますね。

C・ルメール騎手がレイエンダに騎乗することから、注目は4頭のどの馬にM・デムーロ騎手が配されるかでしょう。組み合わせとしては少ないものの、「堀厩舎+M・デムーロ騎手」は好走率の高いコンビだけに期待がもてます。

✳︎現時点(10日の17時)ではM・デムーロ騎手は堀厩舎のブレステイキングに乗る予定。

 

ディープインパクト産駒の注目馬2頭

今回の記事ではNHKマイルC2着のギベオン、「堀宣厩舎+デムーロ騎手」のブレステイキング、この2頭のディープインパクト産駒に注目し、解説していきます。

 

ギベオン 3歳牡馬

父:ディープインパクト

母:コンテスティッド(母父Ghostzapper)

厩舎:藤原英昭(栗東)

生産:社台ファーム

毎日杯(GⅢ・阪神芝1800m)は素質馬ブラストワンピースの2着、好タイム決着となったNHKマイルCを2着と好走した実績馬。名門の藤原英昭厩舎の管理馬ということもあって、セントライト記念は上位人気になるでしょう。

 

血統

母コンテスティッドは米GⅠエイコーンSなどを勝った活躍馬で、JRAに出走したサトノルーラー(父ディープインパクト)、ギベオンの2頭がともに勝ち上がるなど、繁殖としてもなかなか優秀です。母系は代々にわたって北米の血統が重ねられており、母自身はIn Reality4×5とMr. Prospector5×4のスピードとパワーに優れたクロスをもちます。

母父GhostzapperはBCクラシックなどを制した中距離馬ですが、JRAに出走した産駒の多くがマイル以下の距離に適性を見せているように、パワフルなスピードがもち味です。種牡馬ディープインパクトはスピードとパワーをもつ繁殖牝馬との間で活躍馬を多く出しており、ギベオンもこのセオリーに則っていると言えます。

母系にRelaunchが入ることで、ビュンとキレるマイラーというよりも、中距離でジリジリと脚を伸ばすのに向いた配合。また、母母父ArchがRoberto×Danzigですから、小回り中山向きのパワーも秘めています。ディープインパクト産駒としてはキレ脚は並のタイプです。

 

セントライト記念に向けて

馬体をしなやかに伸縮させてバキューンと鋭く差すというよりも、母系のスピードとパワーで先行し、父のもつスタミナで粘るタイプ。そのため、極端に上りの速いレースにならなければ高速馬場も苦にしません。

現時点では1800〜2000mがベストの中距離馬。ビュンとキレるディープインパクト産駒ではないので、3コーナーからペースの上がる中山芝2200mはOKです。後は昨年のように、スローからの上り3F33秒台の決着になると、好走しても勝ち切れない可能性が高く、その点が不安要素でしょう。

藤原英昭厩舎+社台系ファーム生産馬ですから、休み明けはマイナスになりません。問題は不振の続く戸崎騎手。この馬でキッカケをつかむことができるのかに注目です。

 

ブレステイキング 3歳牡馬

父:ディープインパクト

母:シユーマ(母父Medicean)

厩舎:堀宣行(美浦)

生産:ノーザンファーム

春はプリンシパルSを2着と好走したものの、ダービーの出走権を取ることができず、その後に500万下を勝ち上がって休養に入りました。

デビュー前から評価の高かった馬。全兄ヘリファルテと同じく、1着になるときは素質馬らしい走りを披露します。馬体がパンとしてくれば、重賞級の活躍が見込めるでしょう。

 

血統

母シユーマはサンチャリオットS(英GⅠ・芝1600)、EPテイラーS(加GⅠ・芝2000m)の勝ち馬。母父Mediceanは軽い芝に適性を示すMachiavellian直仔とあって、日本に向いた種牡馬と言えます。

ディープインパクト×MachiavellianはHaloのクロスが生じるので、ヴィルシーナ=ヴィブロス全姉妹のように小回り向きの器用さ(機動力)に優れたタイプを出します。また、ブレステイキングは2歳チャンピオンのダノンプレミアムと同じく母系にデインヒルを引くため、パワーも十分です。

母シユーマがMr. Prospectorのクロスをもつので、このスピードがONになっていれば、1800〜2000mがベストの中距離馬となります。脚元さえ丈夫であれば、重賞を勝てるだけの配合です。

 

セントライト記念に向けて

2着に好走したプリンシパルSの上り3Fが33.6。ディープインパクト産駒らしい速い上りを出していますが、本質的には母系のスピードとパワーで先行し、父のスタミナで粘るタイプでしょう。

機動力に優れるHalo3×5のクロスをもち、母系にパワーあふれるデインヒルが入ることから、コーナー距離の長い中山芝2200mは適性に合っている条件。高速馬場への適性も十分で、体調さえ整っていればここでも好走できるでしょう。

ノーザンファーム生産馬のなかで、M・デムーロ騎手がこの馬を選ぶのなら、好走する可能性はより高くなります。人気になったとしても買い目には入れておきたい1頭です。

 

まとめ

注目のディープインパクト産駒2頭は、しなやかなストライドでキレるタイプではないため、セントライト記念への適性は十分にあります。問題は、昨年のように上り3Fの鋭さ勝負になったとき……。M・デムーロ騎手がブレステイキングに乗るのであれば、しっかりと脚を出し切るレースをしてくれそうですが、展開だけはゲートが開いてみないとわかりません。

今年のセントライト記念はレイエンダを含め、ノーザンファーム生産馬たちの争いになりそうで、後はオッズとの兼ね合いで馬券を買えるかどうかですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。