マイルCS(2017年)は京都の下り坂をスムーズに走れるディープインパクト産駒に注目!ーー展望

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京都の外回りコースで行われるマイルCS(GⅠ)は「しなやかな」ストライドで走る馬に優勢のレースで、「だから」現代の日本の競馬でもっとも産駒に「しなやかさ」を伝える種牡馬ディープインパクトの強いレースとも言えます。

マイルCSの過去5年を調べてみると、ディープインパクト産駒は3勝+馬券圏内(1〜3着)に7頭が入線と好相性なことがわかります。

ディープインパクト産駒は春のマイル王を決める安田記念だと、過去5年で1勝+馬券圏内3頭。同じ直線の長いコースでも、東京芝1600mはしなやかさだけで乗り切れないと言えるのでしょう。

 

ディープインパクト産駒は下り坂が得意

京都のマイル戦をディープインパクト産駒が得意としている理由は、しなやかなストライドで差しやすいからだけではなく、3〜4コーナーの下り坂も大きく影響しています。

パワータイプだった全兄のブラックタイドと異なり、ディープインパクトの「柔らかさ=しなやかさ」の源は、母系に入るSir Ivor←Sir Gaylordのラインによるものです。そして、このSir Gaylordは京都の下り坂をスムーズに走れる血でもあるのです。

近年のマイルCSは3〜4コーナーからスピードを上げ、そのスピードの惰性で直線を伸びる馬が優勢ですから、いかに下り坂をロスなく走れるのかは着順に大きく影響します。

 

マイルCSに出走予定のディープインパクト産駒

今年のマイルCSに出走予定のディープインパクト産駒は4頭。この内、ディサイファはジャパンカップとのダブル登録なので、出否は未定です。

ガリバルディ

サトノアラジン

サングレーザー

ディサイファ

(50音順)

ディサイファを除くと、いずれもしなやかにキレるタイプが揃いました。この4頭のなかで、もっとも京都の下り坂をロスなく走れるのは、Sir Gaylord6×5のクロスをもつサングレーザー。その後はサトノアラジン=ガリバルディ>ディサイファという順番です。

 

サングレーザー 3歳牡馬

母:マンティスハント(母父:Deputy Minister)

厩舎:浅見秀一(栗東)

生産:追分ファーム

低レベルと揶揄される3歳牡馬ながら、前走のスワンS(GⅡ・京都芝1400m)は古馬を一蹴する走りを見せました。その前走は重馬場で各馬が直線の外へ進路を取ったところを、インに切れ込んでの差し切り勝ち。

母マンティスハントはJRAで3勝以上の仔をコンスタントに出している好繁殖牝馬。ディープインパクトが配されたのは、サングレーザーが初めてです。

ディープインパクト×フレンチデピュティ(Deputy Minister直仔)はマカヒキやショウナンパンドラなど活躍馬が多く出るニックスですから、母父Deputy Ministerのこの馬にも期待がもてます。自身はSir Gaylord6×5のクロスをもち、よりしなやかさを特化した配合。京都の外回りコースはずんどばの舞台です。

前進気勢が強く、1600mへ距離が延長されて折り合えるのかは不安があるものの、前走のように内枠に入れば面白いレースができるはずです。ここで好走できるのかは一線級マイラーとの力関係だけでしょう。

 

サトノアラジン 6歳牡馬

母:マジックストーム(母父:Storm Cat)

厩舎:池江泰寿(栗東)

生産:ノーザンファーム

古馬になってからは、直線の長いコースの1400〜1800mのレースに絞ったローテーションが組まれ、今春の安田記念で初GⅠ制覇を上げました。外目をスムーズに押し上げ、ストライドを伸ばす走りができれば、GⅠ級の脚を使える馬。

ディープインパクト×Storm Catは活躍馬が多く出るスーパーニックスですから、GⅠで各負けはしません。母系に引くSecretariatとMr. Prospectorの柔らかさが出たストライド走法なので、京都の外回りは適正に合った舞台です。

馬場が渋ると良くないのと、直線の外から追い込むしかないので、マイルCS当日の芝が良馬場+外差しもOKの馬場になることを祈りましょう。母父Storm Catなので、高速馬場がベター。

 

ガリバルディ 6歳牡馬

母:シェンク(母父:Zafonic)

厩舎:藤原英昭(栗東)

生産:社台ファーム

中京記念(GⅢ・中京芝1600m)の勝ち馬で、柔らかいストライドで走る馬。外回りコースがベターなので、2走前の小回り中山コースの京成杯AH2着は、この馬の能力の高さを改めて示しました。

母シェンクはマルカシェンクやザレマなどの重賞勝ち馬を多く出し、活躍した兄姉のなかではもっとも柔らかい体質です。そのため、4分の3兄のマルカシェンクよりもびゅんと反応ができず、スローだと持ち味が活かせないタイプ。

今走は逃げ馬のマルターズアポジーとウインガニオンがセットで出走すること、そして、馬場がややタフなことを加味すれば、この馬には差しやすい条件は揃いました。

母系的にGⅠを勝ち切れるのかには不安が残るものの、少なくとも格負けはしませんし、モーリス級のチャンピオンマイラーが不在ならここでも……。

 

ディープインパクト産駒にとっての不安は馬場

今開催の京都芝は、良馬場でも時計のかかるややタフな馬場になっており、差し馬が伸びきれないシーンが目立ちます。

サングレーザーは前走で重馬場+内目を立ち回る競馬をクリアしたものの、サトノアラジンは湿った馬場はダメなタイプ……。ガリバルディもタフな馬場でパフォーマンスが上がることは考えにくく……週末の雨予報には注意が必要ですね。

 

サトノアラジンは外枠、残り2頭は内枠が理想

外目をスムーズに走りたいサトノアラジンにとっては、理想は外枠。4コーナーをノーブレーキで走るためには、内枠で馬群をさばくレースはマイナスです。

サングレーザーとガリバルディは内目を立ち回れるので、理想は内枠です。特に、2014年のマイルCSでダノンシャークを勝利に導いた岩田騎手のイン強襲を、ガリバルディにも期待したいところですね。

 

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参照:jraofficial - YouTube

 

インコースが渋滞のシーンも

先週のエリザベス女王杯はイン+前目に付けた馬に有利な馬場だったので、これがどこまで継続しているのか……。この傾向があまりにも顕著だと、各馬がインに殺到して渋滞を引き起こしてしまうこともあるので、サトノアラジンの大外バキューンが決まる可能性も……。

とにもかくにも、馬場コンディションには注意をしましょう。いきなり、ディープインパクト産駒が全滅するようなタフな馬場になるかもしれませんしね。

 

まとめ

内枠を引ける+馬場がそれほどタフではないのであれば、オッズ的にも妙味があるのは岩田騎手の乗るガリバルディ。この馬は名牝シェンクの仔ですから、GⅠで馬券圏内に入っても驚きません。3着内率の高い藤原英昭厩舎というのもプラスですしね。

しなやかなディープインパクト産駒たちが、ゴール前で叩き合うマイルCSになるのでしょうか?

 

以上、お読みいただきありがとうございました。