7月29日から新潟・小倉・札幌へ開催替わり、各場の馬場状態についての考察

f:id:hakusanten:20170728230722j:plain

JRAは7月29日(土)から6週間におよぶ札幌、新潟、小倉開催がスタートします。北海道シリーズは函館に引き続き洋芝の札幌競馬場、関東圏は「日本で唯一の直線1000m」のレースが行われる新潟競馬場、関西圏は時計の速い野芝とスパイラルカーブによってスピード感のあるレースが楽しめる小倉競馬場へと舞台が替わり、いよいよ本格的な夏競馬のシーズンが到来。

今回の記事では、29日(土)、30日(日)が開幕週となる3場所の芝コンディションについて考察します。

 

新潟競馬場

新潟は1年間を通して「野芝」のみでレースが行われるJRAで唯一の競馬場です。野芝は日本に古くから自生し、丈夫で傷みに強く、速い時計が出やすいのが大きな特徴。

現在の新潟競馬場は'01年に大掛かりなコース改修工事を終え、JRA全10場のなかでもっとも長い1周距離(2223m)をもつ外回りコースとしてリニューアル・オープンを果たしました。

日本で唯一の「直線芝1000m」のレースが行われることでも有名な新潟競馬場。開幕週のメインレースとして「直線1000m」で争われるGⅢアイビスサマーダッシュが組まれています。

週中に「新潟競馬場のコースと馬場の特徴」についてまとめた記事を書きましたので、よければそちらも参考にしていただければ幸いです。

夏の新潟開催が開幕!ーーコースと馬場の特徴をズバッと解説 - ずんどば競馬

 

昨年の開幕週の芝の時計は?

夏の新潟開催は'01年のリニューアル当初から路盤が硬く、速い時計の出る馬場でした。JRAはレースにおける事故を少なくする、または未然に防ぐことを目的として「柔らかい馬場造り」を押し進めています。'13年からは新潟の馬場硬度を下げるため、夏の開催前にエアレーション作業を2回実施するなどの工夫をしており、ここ数年はそこまで速い時計は出ないようになってきました。まずは、昨年の開幕週の芝の時計をおさらいしておきましょう。

 

'16年 7月30日(土)

新潟競馬場はここ数年、開幕週の時計はほぼ変わりなく、レコードが出るような「高速」馬場ではありません。ここでは極端なスローペースになりやすい2歳戦や3歳未勝利戦を除きます。

 

9R 閃光特別 3歳以上500万下 芝1000m

勝ちタイム:54秒8

 

10R 古町特別 3歳以上1000万下 芝1600m

勝ちタイム:1分33秒6

 

11R 佐渡S 3歳以上1600万下 芝2000m

勝ちタイム:1分59秒1

 

7月31日(日)

メインのアイビスサマーダッシュは過去の5年間の勝ちタイムはすべて54秒1〜54秒3におさまっており、ほぼ大きな変化のない馬場状態が続いています。

 

8R 3歳以上500万下 芝2000m

勝ちタイム:2分00秒0

 

9R 新発田城特別 3歳以上500万下 芝1400m

勝ちタイム:1分21秒0

 

11R GⅢアイビスサマーダッシュ 芝1000m

勝ちタイム:54秒1

 

これらの勝ちタイムを見てもわかるように、500万下で1分58秒台のタイムが出ていた今夏の福島開催と較べても「そこまで高速ではない馬場」だと言えるでしょう。

 

週中の雨量と散水について

新潟競馬場は23日(日)に47.5mm、24日(月)に81.0mm、25日(火)に34.5mmと3日間合計で150mmを超える雨が降りました。もともと新潟競馬場は水はけが良く、水・木・金曜日と晴れ(金曜日は1mmの雨量があります)ているので、週末の芝の含水率もそこそこ低くなっていることが考えられます。これだけの雨が降っているにもかかわらず、27日に散水を実施していることからも例年通りか少しだけ時計のかかる芝のコンディションになるでしょう。

 

7月29日(土)の馬場コンディションは?

馬場を柔らかくするエアレーションとシャッタリングの作業が実施されていることから、今年の夏開催も「クッションが利いた」馬場でのレースとなります。開幕週であっても「逃げ・先行」がバンバン残るようなことはなく、クッションが利いて差しも届くような馬場。イメージとしては春の東京開催の開幕週と似たような馬場で、フローラSでモズカッチャンとヤマカツグレースのハービンジャー産駒2頭がワンツーを決めたように、パワーとキレのある馬に注目したいですね。

23日〜25日にかけてかなりの雨量がありましたが、新潟競馬場の排水性の良さを考えると多少時計はかかったとしてもほぼ例年通りの馬場と考えてOK。土曜日の9Rに直線1000mの閃光特別(3歳以上500万下)が組まれており、このレースは55秒前後の勝ち時計になることがデフォルトですから、どのようなタイムが出るかによって開幕週の馬場の速さがはっきりとわかるはずです。

 

小倉競馬場

夏の小倉開催は「野芝のみ」でレースが行われることから、新潟と同じく速い時計の出やすい馬場。開幕週の芝レースはどうしてもインコース+逃げ・先行馬が有利になります。ただし、小倉競馬場も「エアレーション作業」を実施しているので、極端なインベタではなく外差しもソコソコ利く可能性も……。

小倉競馬場は福島に次いで1周距離が短い小回りコース。2コーナーから4コーナーまで緩やかな下り坂があり、直線は平坦なレイアウトになっています。そのため、1200m戦は上り坂はなく前半3Fがどうしてもオーバーペースになることも……。全体としてスピードの出やすいコースなので、器用さだけではなくしっかりとペースを守って馬を走らせる騎手の手腕も問われます。

小倉競馬場は福島と同じように傷みに強いエクイターフを積極的に使用しているため、以前のように開催が進むとすぐに外差しになるような馬場ではなくなっています。週によって伸びるコースも異なるので、その日その日の馬場のチェックは欠かさないようにしましょう。

 

昨年の開幕週の芝の時計は?

'16年の7月30日(土)、小倉競馬場の芝レースは9Rの500万下伊万里特別(芝1200m)が1分8秒2、10Rの1000万下不知火特別(芝1800m)が1分47秒9と速い時計の決着になりました。これは「高速」とまでは言えない時計です。

7月31日(日)は、9Rの500万下国後特別(芝2000m)が1分59秒4、11Rの1600万下佐世保S(芝1200m)が1分7秒7とこちらも速い時計が出ていました。

上にも書いたように、小倉の芝1200mは下り坂+直線が平坦なこともあってスピード競馬になりやすいので、この時計は例年通りです。

 

週中の雨量と散水について

小倉競馬場は24日(月)に5mmの雨量があったものの、その後は天候に恵まれました。そのため、25日(火)〜28日(金)まで芝の育成を目的とした散水を行なっています。

小倉競馬場は暗渠排水が設置されており、雨が降っても馬場の回復が早いのが特徴です。散水を行なっているのも芝が乾きすぎるのを防ぐためでしょう。

 

7月29日(土)の馬場コンディションは?

ここ1週間ほとんど雨が降らず、火〜金曜日まで散水していることからも、速い時計の出る馬場になっていることが予想できます。ただし、エアレーションの実施によって、今年の函館競馬場のような「え?!」というほどの高速馬場ではないはずです。

クッション性がよければ外差しも多少は利くはずで、土曜日のレースではどこまでインが有利なのかを確認しておきたいところですね。

 

札幌競馬場

札幌競馬場は函館と同じく洋芝でレースが行われます。函館との大きな違いは、高低差がない(高低差0.7m)こととコーナー部分の距離が長いことが挙げられます。同じ小回りでもよりコーナーでの加速力を問われるのが札幌競馬場です。

また、札幌競馬場もエアレーション作業が実施されており、クッション性の高い芝になっています。昨年は函館よりもやや時計のかかるコンディションでレースが行われましたが、雨の少ない今年はどのような時計が出るのかに注目です。

 

昨年の開幕週の芝の時計は?

'16年7月30日(土)、札幌競馬場の芝レースは10Rの500万下羊ケ丘特別(芝1500m)が1分28秒7、11Rの1600万下TVh賞(芝1800m)が1分47秒6、12Rの1000万下阿寒湖特別(芝2600m)が2分39秒3とほぼ従来通りの時計水準でした。

7月31日(日)の芝レースは、9Rの500万下北辰特別(芝2000m)が2分00秒9、10Rの1000万下道新スポーツ賞(芝1500m)が1分28秒5、11RのGⅢクイーンS(芝1800m)が1分47秒7ですから、こちらも時計としては水準通り。

 

週中の雨量と散水について

札幌競馬場は週中の雨は降っていません。25日(火)〜28日(金)まで芝の育成を目的とした散水を行っています。

今開催の前にエアレーション作業を実施していますが、これは函館と同じようにほぼ影響はないと考えられます。

 

7月30日(土)の馬場コンディションは?

レコードが連発した函館と異なり、札幌は例年通りの時計の水準になるでしょう。もともと水はけの良い競馬場のため、火〜金曜日の散水は芝が乾き過ぎるのを防ぐためのものです。

ただし、今年は北海道の雨量が少なかったことから例年よりもやや速い時計になることもあり得るので、土曜日の時計のチェックは欠かさないようにしましょう。

 

まとめ

今週から開催場所が替わり、どのような馬場状況でレースが行われるのかは土曜日のレースを観てから……になります。

新潟と小倉は「野芝」でのレースということもあって、もともと速い時計の出る馬場。エアレーション作業の実施によってどれくらい時計が「かかる」のかに注目です。

それでは、皆様にとっても素晴らしい週末になりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。