今年のGⅠ安田記念(東京芝1600m 6月4日)は香港から2頭の馬が参戦し、Z・パートン騎手のビューティーオンリーは6着、J・モレイラ騎手のコンテントメントは10着といずれも掲示板に載ることができませんでした。
コンテントメントに騎乗するために来日したJ・モレイラ騎手は、ヴィブロスでドバイターフ、ネオリアリズムでQE2世Sを制するなど日本の競馬ファンにも馴染みのあるスーパージョッキー。安田記念当日はコンテントメントを含めて10鞍に騎乗するなど、その手綱さばきに注目が集まりました。
J・モレイラが日本にやって来る!ーー安田記念 - ずんどば競馬
J・モレイラ騎手の騎乗結果
6月4日、J・モレイラ騎手の騎乗結果は以下の通りです。
1R 3歳未勝利(牝馬限定) ダート1600m
ノヴァルーナ:12着(1人気)
2R 3歳未勝利 ダート1300m
リンガスネオ:2着(1人気)
3R 3歳未勝利 芝1400m
ヴェリタブル:4着(3人気)
4R 3歳未勝利 芝2400m
サトノヴィクトリー:13着(4人気)
5R 2歳新馬 芝1600m
サトノオンリーワン:2着(1人気)
6R 3歳未勝利 ダート1400m
データヴァリュー:1着(1人気)
7R 3歳以上500万下 芝2000m
サトノティターン:1着(3人気)
9R ホンコンJCT(3歳以上500万下) 芝1400m
サーベラージュ:5着(2人気)
10R 由比ケ浜特別(3歳以上1000万下) 芝1400m
レッドアフレイム:10着(4人気)
11R GⅠ安田記念 芝1600m
コンテントメント:10着(12人気)
6月4日の全成績(2 - 2 - 0 - 6)は昨年のJRA騎乗時('16年8月13日〜28日) と較べると若干もの足りなさは残るものの、騎乗している姿はやはり素晴らしい騎手なのだなと改めて実感しました。それにしても、10鞍に騎乗して平均の人気が3.2。日本でもその実力が広く知られているため「モレイラ人気」になってしまいますね……。
J・モレイラ騎手の騎乗でもっともファンが湧いたのは?
この日、J・モレイラ騎手の騎乗でもっとも湧いたのは、7Rのダート2100m戦。1年の長期休養明けをものともせずに勝ち切ったサトノティターンの直線での走りに、スタンドで観戦したファンからは驚きとどよめきが起こりました。
(レース映像に関しては、JRAのHPにて無料で公開されています。「レース結果」→「6月4日 3回東京2日」→「7R PLAY」にてご観戦下さい。)
サトノティターンの直線での暴走?
セイカエドミザカがブラヴォバンビーノとのハナ争いを向正面で制して逃げると、道中はハイペース。サトノティターンは大きく離れた3番手を追走し3〜4角からペースアップして逃げるセイカエドミザカに迫ります。直線に向いてゴールまで400mの地点で先頭に立つと、後続を引き離す脚色でしたが……何かに驚いたのか急に外側へ飛び跳ねるように斜行して逸走。モレイラ騎手も馬上でバランスを取りながら立て直して再び追い始めると今度は内へ斜行し、さらにもう一度外へとヨレてしまいます。
アナウンサーが「サトノティターンはフラフラ走っています」と実況するほどに珍しいシーンでした。驚いたのはこれほどの逸走を繰り返しながら勝ってしまったサトノティターンの能力の高さと、馬から振り落とされることなくバランスを取りながら追い続けたモレイラ騎手の技術。
モレイラ騎手のバランス感覚と身体の柔らかさ
サトノティターンが初めに外へと逸走した時はモレイラ騎手がすぐに左重心に変えて馬を内側へ誘導します。その後にヨレた2回は落ち着いて対応し、これだけフラフラとしながら馬を追い続けられるモレイラ騎手の技術はさすがです。このシーンを観て分かるモレイラ騎手の高い技術は2つあります。
1. 馬上でのバランス感覚
2. 身体の柔らかさ
馬がヨレてもすぐに体勢を立て直すには重心を自由自在に変えられるバランス感覚が必要です。また、バランスを取るためには騎乗時に窮屈な姿勢になる場合があり、それをカバーするのが身体の柔らかさです。
身体が柔らかく、馬上できちんとバランスを取ることによって馬へ瞬時に指示を出すことが可能になります。だからこそ、馬群に包まれてもすっと抜け出すことができるのでしょう。
ヴェリタブルに騎乗した3Rを観る(馬の走りを正面から観ることができるパトロールビデオの映像をご覧下さい)と分かりますが、前の進路がクリアになってなくとも手綱を引くことなく追い続けられるのは、瞬時に馬を動かせる技術があるからです。
WAJSでモレイラ騎手を観れる?
海外、JRA所属、地方所属のトップジョッキーが集まるWAJS(ワールドオールスタージョッキーシリーズ)が今年も札幌競馬場で8月26日(土)、27(日)に開催されます。
まだ海外選抜騎手の発表はありませんが、昨年に引き続いてモレイラ騎手が参戦することになれば再びJRAのレースでその騎乗を観ることができます。また、昨年は短期免許を取得し、札幌競馬場で3週間騎乗していたことから今年も……と期待してしまいますね。
サトノティターンについて
1年間の休養明けで500万下を快勝したように、能力は非凡なものがあります。これで2戦2勝として、再び同条件に出ることができますから次走は圧倒的な人気になるのでしょう。
フラフラとした走りは未勝利戦でも見せていて、まだ精神的な幼さが残っていて競馬で集中することを覚えるまではなかなか改善されないおそれがあります。
ただ、新馬→500万下と2戦続けて幼い面を見せたことから陣営も騎手もそれを矯正するはずで、次走は競馬に集中することができるのかに注目です。
まとめ
J・モレイラ騎手とサトノティターン、人馬ともに高い能力があったからこそ、フラフラ走りでも掴めた勝利だったと言えます。この騎手と馬それぞれが今後どのようなレースを見せてくれるのか、今から楽しみですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。