「夏競馬!」という文字が似合うダート短距離重賞プロキオンSが7月9日(日)、中京競馬場を舞台に行われます。
今年はGⅠフェブラリーS3着のカフジテイク、4着のエイシンバッケン、昨年のプロキオンS3着のキングスガードと差し・追い込み馬が1〜3人気に押されるメンバーになりそうです。
カフジテイクはドバイ遠征帰りの国内復帰初戦とあって、「調整はどうなの?」と不安視されています。1番人気はカフジテイクを押しのけて、OP特別の欅Sを快勝してここへ出走するエイシンバッケンになるかもしれませんね。
カフジテイクはドバイ遠征帰り
日本馬が9頭遠征した今年のドバイミーティング(ドバイワールドCデイ)は、日本の競馬ファンにもインターネット投票を通じて馬券を購入することができたこともあって、例年に比べて大きな注目を集めました。
ドバイミーティングのメインレース「ドバイワールドC」に参戦したアウォーディー、アポロケンタッキー、ゴールドドリーム、ラニはいずれも国内復帰戦を走り、馬券圏内に入ったのは帝王賞3着(1人気)のアウォーディーのみ。地理的に近い香港と異なり、海外遠征帰り初戦はなかなか好結果が出ていないのも事実です。
ドバイ・ゴドルフィンマイル5着からの国内復帰初戦となるカフジテイクは、この向かい風を吹き飛ばして好走することができるのでしょうか?
海外遠征帰りにともなうリスク
近年は毎年のようにドバイや香港などへ日本馬が遠征しています。
昨年は凱旋門賞を目指したマカヒキ(4歳牡馬友道厩舎)がフランスに長期遠征、また、アメリカのクラシック3冠を完走したラニも長期での海外遠征となりましたが、それ以外は目標となる1つのレースを走り終えたら日本へ帰ってくる「遠征」です。
長期の遠征によるリスク
マカヒキやラニといった長期間にわたり海外に遠征する馬のもっとも大きなリスクは、管理する厩舎の資源(リソース)がその馬に割かれてしまうということです。
調教師や厩舎のスタッフも慣れない海外に「遠征」をするわけですから、どうしても普段以上のリソースがそこに割かれます。そのため、厩舎全体の成績(日本で走る管理馬の成績)が下がるリスクがあるのです。
海外帰り初戦のリスク
海外遠征帰りの初戦のリスクとして挙げられるのは以下の点です。
1. 海外遠征による疲労
2. 海外遠征による精神的なストレス
3. 検疫による待機時間
海外のレースに参加するということは普段と違う環境に置かれるわけですし、輸出入に関する法的な制度として検疫に時間がかかるのも、もともと想定できるリスクです。
ドバイや香港などに日本馬は毎年のように参戦しており、1〜3に関するケアは年々向上しています。特に、遠征の経験が豊富な厩舎であれば、しっかりとした対応が期待できるでしょう。
もっとも問題なのは目に見えないもの
海外遠征による疲労であったり、検疫に関するアクシデントがあった場合、それらの情報は競馬ファンに伝わり「やすい」ため、大きなリスクとはなりません。
例えば、昨年の安田記念に出走したモーリスは、香港からの遠征帰りによる検疫期間の問題で、レース前に東京競馬場での調整となりました。これらはすぐに情報として競馬ファンにも伝えられるので、予想をする上でも対応できるリスクです。
厩舎関係者でも察知できないリスク
競走馬が海外の慣れない環境で受ける精神的なストレスをケアしていたとしても、それが誰の目にも分からない「目に見えないもの」であれば、それは大きなリスクとなります。
ただし、こうしたリスクを全て回避するためには「海外遠征帰りの初戦は買わない」などの対応が必要になります。
私はエクスキューズしてしまうので……
先にも述べましたが、起こりうるリスクを回避する方法はただ一つ、「リスクが想定される事象は全て取り除く」です。つまり、「海外遠征帰りの初戦」はその馬がどれほど強くても、体調が良さそうでも馬券の買い目に入れないこと、となります。
でも、例えば、「モーリスだし、堀厩舎だし、そもそも香港なんて海外遠征というには地理的に近すぎるよね!」とか、そうしたエクスキューズ(言い訳)をしてしまうのが、人間、というか私自身なので、すべてのリスクを回避することはできません。
帝王賞の予想でも、◎クリソライト、◯アウォーディーとしたように、「アウォーディーは海外遠征が豊富な松永ミッキー厩舎だし、問題ないよね」と考えましたしね(アウォーディーが帝王賞のレース中に武豊騎手の鞭に反抗しているようなシーンが観られましたが、こうした精神面の変化を海外遠征に求めてよいものなのかも微妙です。原因は他にも考えられるので)。
海外遠征も競馬におけるリスクの一つ
海外遠征も競馬におけるリスクの一つなので、「海外遠征からの帰国初戦=凡走」という図式は成り立ちません。
今年ドバイに遠征した馬の国内復帰初戦はアウォーディーとアディラートが馬券圏内に走っていることから、「海外遠征だから馬券からは外す」というよりも、それぞれの馬のリスクを考えるという方向で馬券も組み立てたいですね。
あくまで、海外遠征も競馬におけるリスクの一つに過ぎないので……。
カフジテイクはどうなの?
前置きが長くなりました……。「結局、カフジテイクはどうなの?」という問題が残っていますよね。
う〜ん、カフジテイクについて気になるのは以下の2つ。
1. 湯窪厩舎は初の海外遠征
2. 非社台系の生産馬
湯窪厩舎はカフジテイクが初の海外遠征となりました。経験がないなかでの調整というのは不安ではあります。もともと休み明けは走る傾向にあるので、リフレッシュができていれば……。
カフジテイクは非社台系の生産馬のため、海外遠征後のケアの経験が豊富な社台系の外厩を使えません。
この2点がカフジテイクの不安点として挙げられるところでしょうか。
まとめ
JRAが海外馬券の発売を始めたことから、今後は競馬ファンにとっても海外遠征がより身近なものとなります。
海外遠征が増えることで、調整に関する技術も経験が蓄積されるでしょうし、近い将来にはリスクも軽減されているかもしれません。
まずは、プロキオンSでのカフジテイクの走りには注目ですね。湯窪調教師の仕上げが上手くいっているのかどうか……。
以上、お読みいただきありがとうございました。