ハービンジャー産駒のサンマルティンは小倉記念(2018年)を好走することができるのか?

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2017年の秋華賞を制したディアドラ(現4歳牝馬・橋田満厩舎)は、父ハービンジャーに初めて「GⅠ」の栄冠をプレゼントしました。昨年の3歳馬はハービンジャー産駒の「当たり年」と言われ、ディアドラを含む3頭がGⅠを制しています。

ハービンジャー産駒のGⅠ馬

2017年

ディアドラ:秋華賞

モズカッチャン:エリザベス女王杯

ペルシアンナイト:マイルCS

キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSを11馬身差で圧勝したハービンジャーは、デインヒル直仔のDansiliを父にもつめ、日本の「時計の速い」芝に対応できる産駒を出せるのかに注目が集まりました。

そして、その不安を払拭したのが2014年にデビューした初年度産駒たちです。ベルーフ(5歳牡馬・池江泰寿厩舎)が京成杯(GⅢ・中山芝2000m)を制したことで、ハービンジャーは新種牡馬として順調なスタートを切ることになります。

ただ、3歳クラシック路線や古馬になってからGⅠへ出走できる馬を出せず、「期待外れ」と言われることもしばしば……。評価が下降しつつあった種牡馬を救ったのは、昨年の3歳馬たちです。

そして、「古馬になってからの成長力が……」と言われたハービンジャーにとって、ダービー卿CT1着のヒーズインラブと大阪杯2着のペルシアンナイト、クイーンS1着のディアドラの好走は、種牡馬としての価値をさらに高めるものとなりました。

 

GⅢ小倉記念にサンマルティンが出走

昨年の小倉記念を2着と好走したサンマルティンはハービンジャーの初年度産駒。いまだ重賞未勝利というのが不思議なほどの素質馬です。

名牝ディアデラノビアの仔として大きな期待のかかる同馬は、初重賞制覇をかけて小倉記念(GⅢ・芝2000m)に出走します。

 

サンマルティン 6歳騸馬

父:ハービンジャー

母:ディアデラノビア(母父サンデーサイレンス)

厩舎:国枝栄(美浦)

生産:ノーザンファーム

折り合いの巧みなルメール騎手が乗っても引っ掛かってしまうほど気性の難しいサンマルティン。それだけ、搭載されているエンジンが優れているとも言えます。スムーズに折り合えればため息の出るくらい素晴らしい脚を使えるので、いかに「前進気勢」をコントロールできるのかがポイントです。

昨年の小倉記念は3コーナーから外目をバキューンと捲り、直線で先頭に立つ積極的なレース運び。ゴール前でインのポケットからスルっと抜け出したタツゴウゲキに差されてしまったものの、「小回り+中距離+折り合いスムーズ」の3点セットが揃えば、重賞級の脚をもっていることを十分に示しました。

 

血統

母ディアデラノビアはGⅡフローラSをはじめ重賞を3勝し、GⅠでも3着が3回ある名競走馬。その母ポトリザリスはアルゼンチンの年度代表馬に輝いた名牝で、Northern DancerやMr. Prospectorなど現代の主流の血をもたないのが大きな特徴です。

ディアデラノビアしかり、その仔たちも全体的に成長曲線が緩やかなのは、このポトリザリスの異系の血が大きく影響しているからでしょう。

サンマルティンはGⅢ京都2歳Sを勝ったドレッドノータスの全兄。ただ、同馬はより母ディアデラノビアのピッチ走法が伝わっており、一瞬でビュンと加速できるのがセールスポイントです。気性の難しさはこの母系につきもので、後は折り合いだけ……。

 

小倉記念に向けて

母ディアデラノビア譲りのピッチ走法のため、折り合いさえつけばバキューンと小回りを捲れる馬。とにかくコーナーでの加速力が抜群で、小回りコース+1800〜2000mの距離がベストです。

今年の小倉記念は逃げ・先行勢が薄いため、折り合いの難しいサンマルティンにとってはスロー・ペースになると不安が……。前に馬を置いても前進気勢を抑えるのが難しいので、池添騎手の手腕に期待しましょう。

理想はトリオンフが3コーナー手前から捲るのに合わせてバキューンと脚を出し切ってしまうこと。4コーナー先頭のイメージでOKで、もし、昨年のタツゴウゲキのようにインを上手く立ち回った馬に差されたとしたら、それは致し方なしです。

 

今後は?

搭載しているエンジンはGⅠ級。後はエキサイトする気性を上手くコントロールできるかどうか……。6歳馬となった今年こそ、「重賞制覇→GⅠ出走」を果たして欲しいですね。

これまでに出走したレースは14戦と少なく、馬体も若々しいですから、まだまだ活躍するチャンスはあります。成長力のある母系ですし、怪我がなければ来年も楽しみな馬です。

ハービンジャー産駒としてはキレる脚をもつタイプなので直線の長いコースもOKですが、理想はピッチ走法を活かせる内回り・小回りコース。GⅠなら大阪杯(阪神芝2000m)での走りを観たいですね。

 

まとめ

サンマルティンはハービンジャーの初年度産駒のなかでも期待の大きかった1頭。未だに重賞タイトルを獲得していないのが不思議なくらいの素質馬ですから、小倉記念は厩舎としても力が入る1戦でしょう。

今年の小倉記念は例年とは異なり、逃げ・先行勢が手薄なため、スローバランスになる可能性があります。サンマルティンはスローペースでも我慢して走ることができるのでしょうか?

以上、お読みいただきありがとうございました。