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非ディープインパクト産駒が上位人気に支持される紫苑Sーーサロニカの逆襲はあるのか? 展望

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2011年の桜花賞を制したマルセリーナは、ディープインパクトの初年度産駒として初めて父にGⅠをプレゼンントしました。海外の国際GⅠを含めれば、マルセリーナを皮切りに2017年の安田記念を制したサトノアラジンまで、ディープインパクト産駒はすでに38のタイトルを獲得しています。

そのなかでも京都芝2000m(内回り)で行われるGⅠ秋華賞は2012年のジェンティルドンナとヴィルシーナの1、2着から、昨年のヴィブロスまですべての年で連対を果たし、2014〜16年は3連勝と抜群の相性を誇るGⅠです。

 

秋華賞におけるディープインパクト産駒

着順 人気 馬 名
2016 1 3 ヴィブロス
2015 1 1 ミッキークイーン
2014 1 3 ショウナンパンドラ
2013 2 2 スマートレイアー
2012 1 1 ジェンティルドンナ
2 2 ヴィルシーナ

これだけの好成績を残しているのであれば、「秋華賞はディープインパクト産駒を狙えばOK!」と考えてしまいます。上記の好走馬を見ると、いずれも古馬になっても活躍した(している)馬がズラリと顔を揃えていることからも、秋華賞で連対を果たしたディープインパクト産駒のその後は明るいと言えるでしょう。

ところが、9月9日(土)に中山競馬場の芝2000mで行われる秋華賞トライアル「紫苑ステークス」の有力馬(1〜5番人気)のなかで、ディープインパクト産駒はサロニカただ1頭。桜花賞を左後肢ハ行によって取消し、オークスを回避したサロニカの秋華賞に向けての逆襲はあるのでしょうか?

 

サロニカはドイツ血脈のディープインパクト娘

今年の桜花賞、オークスともに馬券圏内に入ったディープインパクト産駒は「0」と、春の牝馬クラシック路線は苦しい戦いとなりました。以下は桜花賞とオークスで1〜3着に入線した馬たちの血統についてまとめた表です。

 

2017年 GⅠ桜花賞 阪神芝1600m

着順 馬 名 母父
1 レーヌミノル ダイワメジャー タイキシャトル
2 リスグラシュー ハーツクライ American Post
3 ソウルスターリング Frankel Monsun

2017年 GⅠオークス 東京芝2400m

着順 馬 名 馬 名 馬 名
1 ソウルスターリング Frankel Monsun
2 モズカッチャン ハービンジャー キングカメハメハ
3 アドマイヤミヤビ ハーツクライ クロフネ

今年の3歳牝馬路線は桜花賞が始まる前から「ハイレベル」と言われ、次々と「大物」が現れました。阪神JFを勝ち、2歳女王としてこの世代を引っ張ったソウルスターリング、ハーツクライ産駒のアドマイヤミヤビとリスグラシュー、そして、牝馬ながらGⅠ皐月賞に挑んだディープインパクト産駒のファンディーナなど、5本の指におさまらないほどの素質のある牝馬たちがきらめいた「春の牝馬クラシック」路線。そのなかでも桜花賞3着→オークス1着となった才女ソウルスターリングはFrankel産駒の良血馬として、早くから期待を集めた1頭です。

ソウルスターリングの母スタセリタは欧米のGⅠを6勝した名競走馬で、その父Monsunはドイツの名種牡馬でNorthern DancerもMr. Prospectorももたない異系血脈の出身。これら異系の血がGalileo(Sadler's Wells直仔)×デインヒル(Danzig直仔)というNorthern Dancerの名種牡馬が代々重ねられたFrankelとマッチし、しなやかなフォームで東京の芝2400mを軽やかに走るソウルスターリングは産まれました。

そして、ディープインパクト産駒のサロニカも母系にはドイツの血脈を引いています。春の牝馬クラシックの中心となったドイツ娘のソウルスターリングは秋華賞は不出走。その代わりのドイツ娘「サロニカ」が秋華賞でどのような走りを見せるのか、今から胸がドキドキしますね。

 

サロニカ 3歳牝馬

父:ディープインパクト

母:サロミナ(母父:Lomitas)

厩舎:角居勝彦(栗東)

生産:ノーザンファーム

馬主:吉田勝己

通算成績:3戦2勝(2 - 0 - 1 - 0)

2月のOPエルフィンSを鮮やかに逃げ切ってクラシック路線に乗ったものの、桜花賞は左後肢ハ行のよって取消。オークスは万全の状態で出走できないことから回避をし、春は全休となりました。休養明け初戦となる紫苑Sは2月以来7ヶ月ぶりのレース。前走はまだまだ華奢な体つきでしたから、ひと夏を越してどれくらい馬体が成長したのかはチェックしておきたいところです。

 

血統

母サロミナは独オークス馬で、その父Lomitasは'91年に独の年度代表馬に輝いた名競走馬。Lomitasはドイツ産馬として初めて凱旋門賞を制覇した牝馬デインドリームの父としても知られています。

 

サロニカの血統表

ディープインパクト サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ウインドインハーヘア Alzao
Burghclere
ロミナ Lomitas Niniski
La Colorada
Saldentigerin Tiger Hill
Salde

サロニカは、代々の母の頭文字に「S」がつく「ドイツSライン」に属しています。始祖SchwarzKutteに遡るこの名門牝系は代々の牝馬の頭文字に「S」がつけられ、現代においてもその血はしっかりと受け継がれています。日本ではビワハイジ→ブエナビスタ母娘、種牡馬としてもGⅠ馬を出しているマンハッタンカフェがこの牝系の出身です。

非Northern Dancerの血脈で固められたスタセリタと異なり、サロミナはLomitas(Nijinsky系)×Tiger Hill(デインヒル直仔)ですからNorthern Dancerのクロスをもっている点が大きな特徴です。サロニカは母系の2分の1がドイツ血脈で固められており、ソウルスターリングに似たしなやかな走りはここからきているのでしょう。

ディープインパクト×母父中距離馬(2400mがベストのLomitas)ですから、ジェンティルドンナやミッキークイーン、ヴィルシーナとヴィブロス姉妹のように母父スプリンター or マイラーの血で3歳の早くからバキューンと弾ける脚が使える配合ではありません。LomitasもTiger Hillも芝2400mの大レースを勝った馬で、サロニカも完成は遅目になるのでしょう。ひと夏を越してパワーアップしていれば紫苑Sでも十分に戦える血統構成をしています。

 

紫苑S→秋華賞に向けて

サロニカの走りはしなやかさのピッチ走法のため小回り中山の芝2000mの紫苑S、そして京都芝2000m内回りの秋華賞ともに、適性としてはベストの舞台。器用さのあるタイプでコーナーを俊敏に加速できるのが最大の長所です。前走のエルフィンSもジンワリとハナに立ってから余力たっぷりに後続を寄せ付けない完勝。Tiger Hillの母系に入るAureoleの血(馬込みが苦手)を考えると、現状ではハナに立っての押し切りがベストの戦法でしょう。

角居厩舎の管理馬らしく、馬の成長をうながしながら秋まで待ったことがプラスに働くでしょうし、秋華賞に出ることになれば長距離輸送のないローテーションになるのも大きく、紫苑Sは何とか権利を取りたいところです。秋華賞はファンディーナとモズカッチャン以外に強力な先行馬が見当たらないため、前残りが怖い1頭と言えます。

 

まとめ

ハイレベルな3歳牝馬路線にあって、サロニカが「コレは!」とエクスクラメーション・マークをつけられるほどの快走を紫苑Sで見せることができるのか、ドイツ娘の復帰戦には要注目。ディアドラ、ルヴォワールとなかなかの豪華な出走メンバーとなる紫苑Sはハイレベルな戦いになりそうですね。今からディープインパクト産駒のドイツ娘の走りが楽しみです。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

 

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