素質馬グランアレグリアは朝日杯FS(2018年)を好走できるのか?ーーディープインパクト牝駒についても解説!

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12月16日(日)、2歳のマイル・チャンピオンを決める朝日杯FS(GⅠ・阪神芝1600m)には、「大器」と称される牝馬グランアレグリアが牡馬に混じって出走します。

グランアレグリアはC・ルメール騎手を確保する(✳︎)ため、阪神JFをパスして朝日杯FSへと向かいます。牡馬相手のGⅠを牝馬が制することはできるのでしょうか?

✳︎C・ルメール騎手は香港国際競争に参加するため、阪神JFには騎乗できません

今回の記事では「ディープインパクト牝駒の特徴」とグランアレグリアについて解説します。

 

ディープインパクト牝駒の特徴

2018年の12月10日(月)現在、GⅠを制したディープインパクトの牝駒は以下の15頭。

アユサン(母父Storm Cat)

・ジェンティルドンナ(母父Bertolini)

・ジュールポレール(母父エリシオ)

・ショウナンパンドラ(母父フレンチデピュティ)

・ショウナンアデラ(母父Elusive Quality)

・ジョワドヴィーヴル(母父Caerleon)

・シンハライト(母父シングスピール)

・ダノンファンタジー(母父Not For Sale)

・ハープスター(母父ファルブラヴ)

マリアライト(母父エルコンドルパサー)

・マルセリーナ(母父Marju)

・ミッキークイーン(母父Gold Away)

・ラキシス(母父Storm Cat)

・ヴィブロス(母父Machiavellian)

・ヴィルシーナ(母父Machiavellian)

✳︎50音順

大種牡馬ディープインパクトは自身と同じ「細身の馬体」と「しなやか(柔らか)な体質」を産駒に伝えるため、パワーに欠ける点が弱点です。この非力さをカバーするには母系からパワーを得る必要があります。

 

ディープインパクトの弱点を補うためには

ディープインパクトの弱点である非力さを補うのに有効なのは以下の2点です。

1. 母がスプリンター or マイラー

2. 母父がスプリンター or マイラー

パワーを補うのにもっとも手っ取り早い方法は、母自身か母父からパワーを取り込むことです。上記15頭の内、シンハライト、マリアライト、ハープスター(✳︎)を除く12頭はすべてこの配合形となっています。

✳︎ハープスターの母ヒストリックスターは未出走。母父ファルブラヴはセックス・バイアスのある種牡馬で、牝馬ならスプリンター〜マイラー、牡馬なら中距離馬を出すのが特徴です。そのため、ヒストリックスターはスプリンター or マイラーだった可能性があります。

 

母父中距離馬は完成が遅め

赤色でマークしたマリアライトは本格化したのが4歳時だったため、クラシック路線には間に合いませんでした。この馬のように母父に中距離馬が入り、母自身も2000m前後を得意とした場合、早い時期から筋肉量を増やすことができないため、完成が遅めになります。

✳︎シンハライトは母も母父も中距離馬ながら、3歳春から一線級の活躍を見せました。これは母シンハリーズが高い競争能力を伝える名繁殖だからです

 

好相性の繁殖牝馬は?

GⅠ2勝以上のディープインパクト牝駒はジェンティルドンナ、ショウナンパンドラ、マリアライト、ミッキークイーン、ヴィブロス、ヴィルシーナの6頭。

この内、全姉妹のヴィルシーナ=ヴィブロスの母ハルーワスウィートはHalo3×4とNatalma4×4のクロスをもち、その他の4頭はすべて母がNorthern Dancerのクロス(ニアリークロスを含む)を引いています。

✳︎NatalmaはNorthern Dancerの母

ディープインパクト自身は5代アウトブリードの配合なので、クロスの強い繁殖牝馬とは好相性。また、Northern Dancerなどのパワーに優れた大種牡馬をクロスすることは、筋肉量を増やすことにも効果的です。

Northern Dancerなどのクロスをもつ

母の父がスプリンター or マイラー

この2点をもつ牝馬とは好相性なので、ひとつの目安として覚えておきましょう。

 

朝日杯FSとディープインパクト産駒

朝日杯FSが阪神芝1600mで行われるようになった2014年以降、ディープインパクト産駒は3勝を上げています。

・2014年

1着:ダノンプラチナ

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・2016年

1着:サトノアレス

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・2017年

1着:ダノンプレミアム

16年のサトノアレスと17年のダノンプレミアムは母系にデインヒルを引き、ディープインパクト産駒としてはズドーンとパワフルな末脚をもつのが特徴です。

ダノンプラチナは母系にUnbridled's Song、Seattle Slew、Never Bendとしなやかさを伝える種牡馬を多く引き、自身も柔らかなフットワークで走ります。

このコースは男性的なパワーと女性的なしなやかさのどちらでも好走することが可能で、牝馬のグランアレグリアにとってはダノンプラチナの勝った2014年のような流れが理想でしょう。

 

グランアレグリア 2歳牝馬

父:ディープインパクト

母:タピッツフライ(母父Tapit)

厩舎:藤沢和雄(美浦)

生産:ノーザンファーム

騎手:C・ルメール

グランアレグリアは「ノーザンファー生産馬+藤沢和雄厩舎+C・ルメール騎手」とGⅠを好走する要素がズラリと揃った素質馬です。先にも述べたように、C・ルメール騎手を確保するために阪神JFをスキップしたのですから、この馬にかかる期待はかなり大きいと言えます。

新馬戦とサウジアラビアRC、ここ2連勝の内容は好素質馬と呼ぶにふさわしいもの。来春のクラシックが楽しみな1頭です。

 

血統

母タピッツフライは北米の芝GⅠを2勝した活躍馬。その父Tapitは北米のリーディングサイアーで、日本でもフェブラリーS勝ち馬のテスタマッタ、ローズSを制したラビットランなど芝・ダートを問わずに重賞馬を出しています。

Tapit産駒はダートをしなやかなストライドで走り、ラビットランなどの牝駒は「芝もOK」の柔らかさをもつのが特徴です。ベストは直線の長いコースで、小回りコースは不向きでしょう。

Tapitとダノンプラチナの母バディーラは血統構成が似ており(Unbridled×Seattle Slew)、ディープインパクトとは好相性。また、タピッツフライはNijinsky4×4、Mr. Prospector4・5×5と強いクロスをもつため、これもプラスのポイントです。

 

朝日杯FSに向けて

グランアレグリアの柔らかなフットワークは自身のもつSir Gaylord×Secretariat6×6・6のニアリークロスをはじめ、父と母からしなやかな血を豊富に引くからでしょう。また、Nijinskyのクロスがディープインパクトの弱点となる非力さを補っており、GⅠを勝てるだけの配合となっています。

 

不安な点は?

グランアレグリアは馬体やフットワークから、マイラーというよりも中距離馬だと思えるので、マイルの朝日杯FSを勝ち切れるのかどうか……。前半800mが速くなるようだと、追走に脚を削がれてしまうシーンも考えられます。

ただ、今年の牝馬3冠を制したアーモンドアイのように、この世代において競争能力がずば抜けているなら素質だけで勝ち切れるので、「マイルの速いペースになったとき……」というのも杞憂に終わるかもしれませんね。

 

まとめ

グランアレグリアは上品な馬体と素晴らしいフットワークをもつ素質馬。ノーザンファームとしても期待をかけている1頭であることは間違いなく、朝日杯FSでの走りが楽しみですね。

来春のクラシックに向けて、アーモンドアイに続くニューヒロインが現れることになるのでしょうか?

以上、お読みいただきありがとうございました。