東京から福島へ、阪神から中京へと開催が替わり、いよいよ「夏競馬!」シーズンが7月1日(土)からスタートします。
今回の記事では、開幕仕立ての福島競馬の特別戦3レースを予想します。
福島競馬場の馬場状態
福島競馬場は4月の開催終了後に「芝のクッション性を確保する」ため、エアレーション作業を実施。馬場に穴を開けて路盤をほぐす作業が行われたことによって、開幕週の芝はクッションが効いて柔らかく、ややタフな馬場になることが予想されます。
エアレーション作業の実施による影響
エアレーション作業の実施が馬場に与える影響は大きく2つ。
1.開幕週からややタフな馬場になる
開幕週からやや時計のかかるタフな馬場になると差しも利きやすくなります。開幕週は逃げ・先行馬に人気が集まりやすくなるため、差し馬の食い込みに注意しましょう。
2.開催が進むにつれて逃げ・先行有利に
エアレーション作業が実施されると、開幕仕立ては柔らかかった馬場がレースを重ねるにつれて硬くなり逃げ・先行馬が有利な状況になることがあります。時計の出方なども変化するので、週毎のチェックは欠かせません。
週中の雨量と散水について
福島競馬場は6月25日(日)に6.5mmの雨量を計測していますが、それ以降は30日(金)の正午まで雨は降っていません。また、26日(月)〜29日(木)まで「芝の育成を目的とした散水を実施。
芝の時計の速さは馬場に含まれる水分量によって変わります。4日間にわたって散水をしていることから、福島は週中に乾燥していたことが考えられます。エアレーション作業が実施されているので開幕週から高速の馬場になるとは思えませんが、開催が進むにつれて時計が速くなる可能性は念頭に入れておきましょう。
開幕週の馬場は?
エアレーション作業+週末の雨を考えると、開幕週の福島の馬場はややタフで時計がかかり、逃げ〜差しまで脚質的な有利・不利の少ないコンディション。少なくとも「逃げ・先行天国」の馬場ではないと想定します。
福島の馬場とコースについては週中にこちらの記事を書きましたので、ご参照下さい。
夏の福島競馬が開幕!ーーコースと馬場の特徴についての簡単解説 - ずんどば競馬
7月1日(土) 福島競馬場の特別戦
7月1日(土)、福島競馬場は3つの特別戦が組まれています。
9R 南相馬特別 3歳以上500万下 芝2000m
10R 猪苗代特別 3歳以上1000万下 ダート1700m
11R テレビユー福島賞 3歳以上1600万下 芝1200m
メインは1600万下クラスの1200m戦テレビユー福島賞が組まれ、サマースプリントシリーズに参戦できる上り馬がここから現れるのかに注目ですね。
それでは、1レースずつ見ていきましょう。
9R 南相馬特別 3歳以上500万下 芝2000m
出走頭数が9頭といくらか寂しくなりましたが、1000万下からの降級馬や3歳馬が参戦し混戦模様。
エアレーション+雨を考えると開幕週としてはタフな馬場になりそうで、パワー型の捲り脚質の馬を狙います。
◎マヤノピナクル 4歳牡馬
ドリームジャーニー産駒らしい小回りの内回り向きのタイプで、中山(1 - 1 - 2 - 1)に対して東京(0 - 0 - 0 - 5)という成績からも福島2000mの適性は十分。
ここ4走は苦手な東京コースを走って大敗していますが、福島コース替わり+木幡巧騎手への乗り替わり(木幡巧騎手はマヤノピナクルを管理する牧光二厩舎の所属騎手で、このコンビは好相性)からも巻き返しを期待したいですね。
捌きやすい頭数+内枠から、逃げるキークラッカーを目標にイン差しが決まれば人気以上の着も……と書いていたところで前日オッズ(6月30日21:00時点)を見ると3番人気ですか……考えることは皆同じというね……。
パワー型ですから、エアレーション+重馬場も苦にしないはずです。
◯キークラッカー 4歳牡馬
父ジャングルポケットよりも母父ステイゴールドの影響が見られるパワー型の逃げ馬。
昨年のセントライト記念を14着と大敗して休養に入り、今回は叩き2戦目+降級戦と走る下地は揃いました。前走は新潟の外回りコースを逃げたものの、スローペースからの瞬発力勝負になってしまい大敗。上りのかかる逃げに持ち込めればアッサリの逃げ切りも十分なメンバーで、ここは人気でも◯を。
他は2、3着の候補として
人気のヒメタチバナは母父アフリートですから、揉まれると力を発揮できないおそれがあり、最内枠はマイナス。
3歳馬エスティームは父ロージズインメイ×母父ハーツクライのストライド走法とあって、小回り福島では割引(素質で好走してしまうことも)。
△イスズブライト
ヴァーミリアン産駒らしいパワー型の先行馬。今回は叩き2戦目の降級戦。この頭数なら揉まれない外枠もプラスで、キークラッカーを目標に前目での粘りこみを期待。
△マスタープラマー
長期休養明けがどうかも、休む前は骨っぽい相手と対戦してソコソコの競馬をしていました。父コンデュイットですから上りのかかる馬場が向いていて、外枠からスムーズに先行できるようなら残り目も。
10R 猪苗代特別 3歳以上1000万下 ダート1700m
堀宣行厩舎の素質馬クラシコが1人気に支持されるメンバー構成です。1年2ヶ月の休養後は4戦して(1 - 2 - 1 - 0)の安定感。脚元の関係でなかなか詰めて使えないものの、能力は十分です。
レース展開
先行馬が揃い、どの馬が逃げるのか難しい1戦になりました。渋った馬場だとより行き脚のつくトゥルーウインドがハナを主張し、内に入ったスケロクもここは先手を目指します。
外枠のティンバレスは揉まれなければ2、3番手でOKのタイプです。問題は内枠に入ったクラシコ。揉まれずにスムーズな競馬を望むのであればある程度は出していくはずで、これが先行争いに加わると思わぬハイペースも……。
◎トゥルーウインド 5歳牡馬
東京開催をスキップして小回りのここを狙ったローテーション。渋った馬場もOKで、ハナに行き切れればスイスイと逃げきってしまう可能性も十分。スケロク、クラシコ、ティンバレスといった先行勢を制してしまえばマイペースが叶うので、後はピアシングステアやシーリーヴェールの捲りに合わせての仕掛けを期待したいですね。
◯ディアコンチェルト 5歳牡馬
福島は2戦2勝の小回り巧者。外枠に入ったことで、スムーズに中団の外目が取れるのは捲り気味に押し上げたいこの馬にはプラスです。
渋った馬場もOK。トゥルーウインドが人気の先行勢を抑え込む展開なら、この馬がスルッと2着に入ることに期待。
大野騎手+高木登調教師のコンビは好相性で、この乗り替わりはプラスです。
ゴール前でトゥルーウインドとディコンチェルトが現地集合をしてくれれば……。
▲クラシコ 5歳牡馬
人気上位馬の中ではクラシコを取ります。内枠で揉まれる競馬になった時は不安がありますが、堀厩舎の2ヶ月の休養明けですから複勝圏内はきっちりと確保してきそうです。
父キンシャサノキセキ×母父カリズマティックで渋った馬場もOKですから、早目に外目に出せれば……。
△スケロク 5歳牡馬
トゥルーウインドを制して内からハナを取り切れば好走の可能性も。スケロクの逃げだと後続が緩いペースに付き合ってくれそうで、前残りが怖いですね……。
トゥルーウインドも外の2番手で揉まれなければ力を発揮できるため、この2頭がセットだ馬券になることもあり得ます。
その他の人気馬について
ピアシングステアは東京2100m→福島1700mに替わり、前走のような積極的な競馬ができるかどうか……。差しに回るようだと、先行勢を捲れるかが鍵になります。
ティンバレスはいかにもウォーエンブレム産駒らしい気難しい馬で、大外枠からスムーズに走れるのはプラス。ただ、戸崎騎手だと逃げない公算が大きく、この人気を考えると買い難い1頭です。
11R テレビユー福島賞 3歳以上1600万下 芝1200m
GⅢ京都牝馬S2着からここでは格上の降級馬ワンスインナムーンが人気の中心となる1戦。内枠にズラリと逃げ・先行馬が揃い、外枠からはウインムート、ニシノラッシュが前を主張することからハイペースは必至です。
エアレーション+雨+ハイペースから、パワー型の差し馬を狙います。
レース展開
福島コース(3 - 0 - 0 - 0)の逃げ馬ラズールラッキーが最内枠を利してハナヘ。そこは先行馬が殺到し、息の入りにくいハイペースになるメンバー構成。
アレスバローズ、ワンスインナムーンも外目の中団前あたりを取りそうで、これらが捲り気味に前へ押し上げてくることを考えると先行勢には苦しい流れになります。
開幕週の馬場だとなかなか前が止まらないものの、エアレーションが効いているとパワー型の差し馬にもチャンスのある展開に。
◎ドリームドルチェ 5歳牡馬
夏の短距離戦と言えばマイネルラヴ産駒。3歳時のチバテレ杯(1000万下)8着以来の芝レース。
父マイネルラヴ×母父リアルシャダイですから、小回りをズバッと捲る脚に優れた短距離馬。休み明けの2走前は強敵サイタスリーレッドに0.7差の5着、前走はスタートで出負けしての8着と情状酌量の余地がある敗戦。
ペースが速くなり、エアレーションによって差しの利く馬場になっていればこの馬にもチャンスはあります。フランス遠征から帰ってきた主戦の野中騎手に替わっての1発を期待したいですね。
◯ワキノヒビキ 5歳牡馬
時計のかかるレースで好走する短距離の差し馬。馬群に揉まれてもOKなパワー型の差し馬なので、インにすっと入る北村騎手とは手が合っています。
1分8秒台の決着ならソコソコには。エアレーション+雨で時計がかかり、前がバッタリと止まる展開を期待して。
▲ワンスインナムーン 4歳牝馬
前走の高松宮記念16着大敗のダメージが取れていれば。差しても競馬ができる馬なので、石橋脩騎手がそれほどポジションを下げなければここはチャンスも十分な1戦です。
△アドマイヤナイト 5歳牡馬
ワンスインナムーンと同じアドマイヤムーン産駒で、内枠+ハイペース+時計のかかる馬場はこの馬にずんどばのレース。
まとめ
7月1日(土)の福島競馬場は見応えのある特別戦が3鞍組まれました。まずは、エアレーションと雨の影響がどこまで出るのかに注目ですね。
皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。