7月に入ってからの函館競馬場は雨の影響を大きく受け、時計のかかるタフな馬場となっています。6月30日(土)〜7月8日(日)まで、函館芝コースは「稍重〜重」馬場でレースが行われ、時計の速い決着はもう見込めないでしょう。
7月15日(日)、函館競馬場では「サマー2000シリーズ」の函館記念(GⅢ・芝2000m)が組まれています。重馬場での開催となった昨年は、5人気ルミナスウォリアー→14人気タマモベストプレイ→7人気ヤマカツライデンの順に入線し、3連単が935,320円の大波乱となりました。馬場の悪化によって、「あっ!」と驚く人気薄の好走があるのでしょうか?
函館記念が波乱になるのは?
函館記念はローカルの中距離重賞「らしく」、高配当がポコポコと出るレースです。過去10年においても、3連単の配当が10万円オーバーとなったのは7回あり、一筋縄で収まらないレースが続いています。ここでは、波乱の立役者となった「2桁人気の好走馬」について、その共通点を探ってみましょう。
2桁人気の好走馬
過去10年のなかで、1〜3着に好走した2桁人気馬は以下の4頭(5回)です。
▼過去10年における2桁人気の好走馬
2017年
2着:タマモベストプレイ(14人気)
通過順位:3 - 3 - 4 - 3
勝ちタイム:2分01秒2(重)
レース上り:36.2
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2016年
2着:ケイティープライド(13人気)
通過順位:5 - 5 - 6 - 4
勝ちタイム:1分59秒0(稍重)
レース上り:35.5
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2015年
2着:ハギノハイブリッド(10人気)
通過順位:5 - 5 - 3 - 3
勝ちタイム:1分59秒1(良)
レース上り:36.8
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2011年
2着:マヤノライジン(12人気)
通過順位:3 - 3 - 4 - 2
勝ちタイム:2分00秒3(良)
レース上り:35.9
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2009年
2着:マヤノライジン(10人気)
通過順位:6 - 6 - 4 - 2
勝ちタイム:2分00秒7(良)
レース上り:35.5
さて、「洋芝巧者」として鳴らしたマヤノライジンが09年、11年と2桁人気で好走しているのを除けば、残りの4頭は「函館がベスト!」というタイプではありません。
タマモベストプレイは京都の外回りコースが「ずんどば!」のタイプ(母ホットプレイの仔はほぼすべて京都巧者)ですし、ハギノハイブリッドは京都新聞杯(GⅡ・京都芝2200m)の勝ち馬とあって、小回り向きとは言えない2頭。
それでは、上記の4頭に共通する点はどこにあるのでしょうか?
共通点
これらの4頭に共通するのは以下の3点です。
・4コーナー4番手以内の先行馬
・インを立ち回れるタイプ
・好走しても2着
函館記念は小回りのローカル重賞らしく「前々」からしぶとく粘り、インを立ち回れる馬が好走しています。また、2桁人気の馬は好走しても2着までなので、馬単や3連単系を購入する場合には頭の片隅に入れておきましょう。
血統的には?
ハギノハイブリッドとマヤノライジンは小回り向きのパワーを伝えるRobertoを引き、タマモベストプレイとケイティープライドは「父サンデーサイレンス系×母父Northern Dancer系(パワータイプ)」という組み合わせです。
「七夕賞はNijinsky」のようなハッキリとした傾向はないものの、やはり、小回りの捲りと言えばRobertoに目が向きますね。
今年の函館記念は?
今年の函館記念は「パンパンの良馬場」が望みにくい状況です。勝ちタイムは2分を切らないでしょうから、昨年と似たような決着が考えられます。まずは、4コーナーを4番手以内で回ってこれる先行馬をチェックしましょう。
先行馬をチェック!
先行が想定されるのは以下の5頭です。
エアアンセム
カレンラストショー
クラウンディバイダ
マイネルハニー
ロジチャリス
このなかで、タフな馬場+上りのかかるレースに強いのはクラウンディバイダ、マイネルハニー、ロジチャリスの3頭。カレンラストショーはRoberto3×4のクロスをもつ馬と思えないほど、上りの速い競馬を得意としており、タフな馬場がマイナスです。
タフな馬場な向くのはロジチャリスで、母プラチナチャリスがDanzigとRobertoを引くことからも、渋った洋芝は「ずんどば!」でしょう。人気薄のなかでの注目馬はコレです。
ロジチャリス 6歳牡馬
父:ダイワメジャー
母:プラチナチャリス(母父ロックオブジブラルタル)
厩舎:国枝栄(美浦)
生産:ノーザンファーム
昨年のダービー卿CTの勝ち馬。それ以降は掲示板にも入れないレースが続いていますが、体調さえ戻れば重賞でもヒケを取りません。パワータイプの先行馬なので、「小回り+洋芝+タフな馬場」は願ってもない舞台と言えます。
洋芝でのレースだった一昨年の札幌記念は15着と大敗。ただコレはスタートの出遅れが響いてのもので、ノーカウントでOKです。
血統
母プラチナチャリスはロジチャリスとグレイル(ラジオNIKKEI杯京都2歳S)の平地重賞馬、ジャンプ重賞馬グッドスカイを出している好繁殖牝馬。パワーを伝えるDanzigとRobertoの血を引くため、産駒の多くは内回り・小回りを得意としています。
ロジチャリスは父ダイワメジャーと母系のDanzig&Roberto的なパワーがオンになった先行馬。小回りコースをゴリゴリと先行して押し切るレースがベターで、渋った馬場もOKのタイプです。函館芝2000mはほぼベストの舞台と言えるでしょう。
函館記念に向けて
国枝栄厩舎+ノーザンファーム生産馬とあって、ダービー卿CT以降は外厩での調整。昨年の安田記念以降は不調が続いているものの、体調さえ戻れば重賞を好走しても不思議はありません。
カレンラストショー、クラウンディバイダ、マイネルハニーのどれが逃げるにせよ、スタートさえ決まればスッと3・4番手が取れるメンバー。蛯名騎手であれば「イン」のポジションにこだわるはずで、その点はプラスと言えます。
先行馬はタフな馬場でパフォーマンスが上がるタイプが少なく、3〜4コーナーからの積極的な仕掛けで押し切りたいところです。
まとめ
上位人気に推されるトリコロールブルーは、父ステイゴールド×母父Pivotalの字面通りの小回り巧者で、函館芝2000mはほぼベストの舞台。「タフな馬場?」だけが不安点なものの、アッサリと捲ってしまって不思議のない力量馬です。
ただ、函館記念は1人気の馬が外からバキューンと捲って勝ち切ってしまう質のレースになることが少ないことから、人気薄の馬にもチャンスがあります。先行馬がしぶとい粘りを見せて波乱の立役者となるのでしょうか?
以上、お読みいただきありがとうございまひた。