9月16日(祝日)、中山競馬場では菊花賞トライアルのセントライト記念(GⅠ・中山芝2200m)が行われます。中山の芝中距離戦とあって、Robertoの血を引く馬の好走が目立つレースです。
▼セントライト記念におけるRobertoもち好走馬
・2018年
1着:ジェネラーレウーノ
2着:レイエンダ
3着:グレイル
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・2017年
3着:サトノクロニクル
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・2016年
1着:ディーマジェスティ
2着:ゼーヴィント
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・2015年
2着:ミュゼエイリアン
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・2013年
1着:ユールシンギング
新潟開催だった2014年をのぞく過去5年において、Robertoもちの馬が毎年好走しています。昨年は1〜3着の上位独占、2016年はワンツーを果たしており、Robertoもちとセントライト記念とはバツグンの相性です。
中山芝とRoberto
種牡馬Robertoはパワーとスタミナを子孫に伝えます。そのため、この血を引く馬たちは以下の条件が得意です。
◯ダート
◯時計のかかる馬場
◯直線に急坂
◯小回り
◯洋芝
Roberto直仔のブライアンズタイムはナリタブライアンやマヤノトップガンなど芝の一流馬だけではなく、フリオーソやタイムパラドックスなどダートの上級馬も多く出しています。
例えば、昨年のチャンピオンズCを制したルヴァンスレーヴはRoberto3×5をもち、現代においてもそのパワーは健在と言えるでしょう。
中山コースはズンドバ!
Robertoはダートの上級馬を出すほどのパワーを伝えるため、時計のかかる馬場や直線に急坂のあるコースも得意としています。また、小回り・内回りを苦にしない器用さ(機動力)をもつため、中山コースはズンドバ!の条件です。
Robertoの特徴
日本で繁用された(ている)Robertoもちの種牡馬と言えば、以下の3頭がメインとなるでしょう。
・ブライアンズタイム
・グラスワンダー
・シンボリクリスエス
グラスワンダーは現役時代、有馬記念(GⅠ・中山芝2500m)と宝塚記念(GⅠ・阪神芝2200m)を3連勝したグランプリホース。3〜4コーナーをパワフルに捲り、スペシャルウィークをねじ伏せ続けた姿が印象的な馬でしたね。
シンボリクリスエスは現役時代に有馬記念を連覇したグランプリホースで、種牡馬としたダートGⅠ馬のサクセスブロッケンやルヴァンスレーヴを出しています。
上記3頭の特徴は「いかにもRoberto」と呼べるものです。上下半期のグランプリが行われる中山と阪神コースを得意としているのも、共通した特長です。
中山コースを捲るのがRoberto
Robertoの血を引く馬が直線の短い中山コースを得意とするのは、コーナーを小気味よく捲る(コーナーでスピードをアップする)器用さに長けているから。
グラスワンダーの制した有馬記念などを観ると、Roberto的な捲りがどのようなものかわかららはずです。ここでは参考までに1999年の有馬記念を貼り付けておきます。
また、母父ブライアンズタイムのディーマジェスティとゼーヴィントのワンツーとなった2016年のセントライト記念は、Roberto的な捲りでの決着となったレースです。
これらの「Roberto的な捲り」を観ると、この血の伝える中山適性がはっきりとするでしょう。
高速馬場は苦手!?
Robertoはパワーとスタミナに優れた血なので、速い上り3Fの求められるレースを苦手とします。そのため、どちらかと言うと「高速馬場」そのものも得意ではありません(✳︎)。
✳︎)母父ブライアンズタイムのディーマジェスティが皐月賞をレースレコード(当時)で制しているように、上り3Fが34秒台での決着であれば全体の時計が速くなってもOK
先週行われた京成杯AHは1分30秒3という日本レコードがマークされるほどの高速馬場となりました。これだけ高速のコンディションだと、上りのかかるレースになるのかは「?」が付きます。
今年のセントライト記念がRoberto向きのレースとなるかは、馬場コンディションをしっかりチェックして判断したいところです。
セントライト記念におけるRobertoもちは?
それでは、2019年のセントライト記念に出走予定のRobertoもちの馬をチェックしましょう!
エングレーバー
ナイママ
ニシノデイジー(5代血統表外)
ミューチャリー
リオンリオン(5代血統表外)
ルヴォルグ
(50音順)
上位から下位人気の馬まで幅広いのが面白いですね。地方競馬所属のミューチャリーは父パイロがダート向きとは言え、母系はパワーとスタミナにあふれているので、時計の速い馬場にならなければチャンスも……。
上位人気馬は?
上位の人気に推されるとニシノデイジー、リオンリオン、ルヴォルグの3頭はともに中山OKのタイプ。
東京の重賞を制しているニシノデイジーとリオンリオンの2頭は5代血統表外にRobertoをもつため、「中山コースがズンドバ!」と言い切れるかは微妙なラインです。
この2頭を中山コース巧者かどうかで比較すると、ニシノ>リオンというのが個人的な見解。前者はDanzig4×5と3代母ニシノフラワーのもつRibotのパワーが発現しており、札幌2歳S1着→ホープフルS3着と直線が短いコースでも好走しています。
リオンリオンはルーラーシップ産駒らしいパワフルなフットワークが武器なだけに、Roberto的な器用さがONになっているとは言い切れません。
注目馬は?
上位人気馬をのぞくと、残るはエングレーバーとナイママ、ミューチャリーの3頭。このなかでエングレーバーについては先日の記事でも解説しているので、ここでは簡単に触れておきます。
エングレーバーは中内田厩舎+藤岡佑介騎手とあって、チャンスのありそうなコンビ。また、今春にOPのプリンシパルSを2着と好走しているのもプラスです。不安点は3ヶ月の休み明けだった前走で馬体重を減らしてしまったこと……。
父オルフェーヴルも3歳秋の初戦は「+16kg」と馬体を増やしていたように、ステイゴールドの父系の一流馬はこの時期にグンと成長をします。エングレーバーはこの点が大きなマイナスポイントです。
ナイママ
父:ダノンバラード
母:ニシノマドカ(母父ジャングルポケット)
厩舎:武藤善則(美浦)
生産:道見牧場
母ニシノマドカはジャングルポケット×ブライアンズタイムなので、NureyevとRobertoのニックス配合となります。ダートGⅠ馬のコパノリッキーとエスポワールシチーは父ゴールドアリュール(Nureyevもち)×「母系にRoberto」を引く配合。
母ニシノマドカはダート適性の高い繁殖牝馬。そこにパワーと機動力に優れたダノンバラードが配されたのですから、ナイママは小回り・内回りをパワフルに捲るタイプに出たと考えられます。
高速馬場は苦手なので、上りのかかる流れになるかどうかが好走のポイント。先週と同じような高速馬場であれば、2枚割り引いてOKな1頭です。
ミューチャリー
父:パイロ
母:ゴッドビラブドミー(母父ブライアンズタイム)
厩舎:矢野義幸(船橋)
生産:芳住鉄兵
祖母ゴッドインチーフは阪神3歳牝馬S3着(現在の阪神JF)や桜花賞4着など、芝のGⅠでも好勝負をしていた競走馬。また、この牝系からはオークス馬のヌーヴォレコルト(✳︎)が出ており、芝を走れる下地は十分にある血統です。
✳︎ゴッドインチーフはヌーヴォレコルトの母オメガスピリットの半姉
ところが、ミューチャリーの母ゴッドビラブドミーはRoberto2×4という強いクロスをもつため、よりパワーが強調された配合となっており、あきらかにダートに向いています。
ミューチャリーもナイママと同じく、高速馬場だとノーチャンス。もし、先週と似たような馬場コンディションであれば、いかに「天才・御神本騎手」が乗るとあっても買いにくいですね……。
まとめ
今年のセントライト記念は「雨」が降る予報も出ているので、もし時計のかかるレースになるならRobertoの捲りが活きるかもしれません。先週のような高速馬場でなければ、人気薄のRobertoもちの馬たちにもわずかながらチャンスが出てきます。
さてさて、菊花賞トライアルはどのような結末が待っているのか、今からレースが楽しみですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。