春のグランプリ宝塚記念('17年)は凱旋門賞を勝てる馬に◎を!ーー予想

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宝塚記念は春のGⅠ3連勝がかかるキタサンブラックの1強ムード。今秋に海外遠征を視野に入れているキタサンブラックにとって、宝塚記念は「凱旋門賞へ向けての壮行レース」とも言われています。

同じく凱旋門賞への挑戦を表明しているサトノダイヤモンドは宝塚記念を回避して海外遠征へ備えるため、キタサンブラックの最大のライバルが不在の春のグランプリとなりました。

サトノダイヤモンド、マカヒキだけではなく、大阪杯2着ステファノス、5着アンビシャスなども不出走のため、出走頭数は11頭といくらか寂しいメンバーに……。

頭数は少ないものの、キタサンブラックがディープインパクト級の名馬への階段を上れるのか、そして、凱旋門賞を目指せるレース内容を残すことができるのか、宝塚記念は見応え満載の1戦です。

 

凱旋門賞を勝てる馬に

今年の宝塚記念は圧倒的な1番人気に支持されるキタサンブラックが出走すること、紛れの少ない少頭数になったことから「観戦するためのレース」というムードがあることも確かです。

競馬に関するメディアもこぞって「凱旋門賞への壮行レース」とキタサンブラックをもち上げています。ということは裏を返せば「凱旋門賞を勝てる馬こそ宝塚記念の◎に相応しい」と言えるので、阪神内回り2200mのコース適性ではなく、シャンティイ競馬場2400mを勝ち切れる馬に◎を。

 

出走馬の中で国際GⅠ勝ち馬は?

今年の宝塚記念に出走する馬の中で国際GⅠに勝利している馬は2頭。

 

キタサンブラック

'16年ジャパンカップ(東京芝2400m)

キタサンブラックは昨年のジャパンカップで海外からの遠征馬に完勝しています。出走した海外馬3頭は凱旋門賞で好勝負できるレベルなのかは疑問符がつくため、国際GⅠとは言え凱旋門賞に直結するレースとは言えません。

 

サトノクラウン

'16年香港ヴァーズ(シャティン芝2400m)

サトノクラウンが2着に下したハイランドリールは昨年の凱旋門賞2着馬で、名門オブライエン厩舎の管理馬です。同馬は今年のロイヤルアスコット開催のGⅠプリンスオブウェールズで勝利を上げ、これでGⅠ通算6勝。

欧州の中距離路線で活躍するハイランドリールを破ったことは、サトノクラウンの競走馬としてのポテンシャルの高さを示すだけではなく、「凱旋門賞でこそ!」と思わせるのに十分な内容でした。

 

◎サトノクラウン 5歳牡馬

父:Marju

母:ジョコンダⅡ(母父:Rossini)

新馬から弥生賞まで3連勝し、皐月賞ではドゥラメンテやキタサンブラック、リアルスティールなどを抑えて1番人気に支持された素質馬。

ダービーでドゥラメンテの3着に敗れた後は精神面のもろさに課題を残し、好走と凡走を繰り返している現状には歯がゆさというか物足りなさが残ります(堀センセイ、サトノクラウンが種牡馬になって、良質な肌馬が集まるように何とか国内GⅠ勝ちをお願いします……)。

京都記念連覇や香港ヴァーズの内容からも国内でGⅠを取れるだけの力は十分にもっているので、レースに集中できれば……気の悪さを見せなければ……東京2400mであればキタサンブラックが相手でもと思わせるだけの素質馬です。

 

血統

全姉のライトニングパールは英スプリントGⅠチェヴァリーパークS勝ち馬。母ジョコンダⅡはRossini(Miswaki直仔)×Vettori(Machiavellian直仔)としなやかなマイラーの血が詰まった名繁殖牝馬で、ここに英ダービー2着のMarjuが掛けられて産まれたのがサトノクラウン=ライトニングパール姉弟。姉はスプリント色が強く出ていますが、サトノクラウンは牡馬なので胴が長い中距離馬に出ました。

(✳︎ライトニングパールは繁殖牝馬として輸入され、'16年にはフランケル、'17年にはディープなインパクトが種付けされています。

ディープだと、サーアイヴァーのクロスによってしなやかすぎる怖れもありますが、今後が楽しみな繁殖牝馬。)

 

コース適性

6着に敗れた大阪杯のレース後にM・デムーロ騎手が「内回りは直線が短いからこの馬に合わない」とコメントしたのがサトノクラウンの適性を端的に表しています。

胴が長く、すっすっと前脚が伸びるストライドで走るので、直線の長い東京や外回りコースが適性としてはずんどばです。

急加速が苦手な面があり、道中スローから徐々にペースアップする流れになりやすいクラシックディスタンス(2400m前後)がベスト。パワーがあるのでタフな馬場でも力を発揮でき、高速馬場での瞬発力勝負よりはやや時計のかかる芝が合います。

宝塚記念の行われる阪神内回り2200mはサトノクラウンの適性とズレているコース。スタートから1コーナーまでの距離が長いので、序盤をゆったりとしたペースで入れるのが大阪杯と比べればせめてもの救いです。

 

コーナーで置かれる可能性が高く……

これはもう致し方なしです……。コース適性が合っていないので、ここは目をつむるしかありません。

少しでもコーナーでスピードが落ちないように、大外枠を利して逃げ馬の番手に付けて少しずつペースを上げる形に持ち込めれば……。3〜4角で外に膨れても構わないので、ストライドを伸ばす走りができれば。

 

スペシャルウィークのような捲りで

名勝負として語られる、スペシャルウィークとグラスワンダーが直線で叩き合った1999年の宝塚記念。

しなやかなストライド走法のスペシャルウィークは4角手前で先行馬を捲り切ってハナに立つ競馬で、グラスワンダーに食い下がりました。サトノクラウンがこの競馬をするならチャンスも……堀センセイ、ミルコにこの時の映像を観せてあげて下さい……お願いします。

 

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サトノクラウンはキタサンブラックに勝てるのか?

キタサンブラックもストライド走法なので、宝塚記念は京都外回りの天皇賞・春よりもパフォーマンスは落とすはずです。ただ、大阪杯ではサトノクラウンはキタサンブラックに完敗しているわけで……。

大阪杯よりも距離が200m伸びることと、前走でミルコもサトノクラウンが内回りは不得意と理解したはずですから、そこに期待したいですね。

週中にサトノクラウンについて詳しく記事を書いたので、そちらもご参照下さい。

サトノクラウンは内回りの苦行を乗り越えられるのか?ーー宝塚記念展望 - ずんどば競馬

 

他の有力馬について

キタサンブラックはもちろん、1番人気に支持されるだけのレベルの馬で、後はディープインパクト級なのかどうかですね。

GⅠを3連勝したらもう名馬の仲間入りですし、凱旋門賞での走りが楽しみになりますね。

週中にシャケトラ、ゴールドアクター、ミッキークイーンについては考察したので、興味のある方はそちらをご覧下さい。

シャケトラ

シャケトラの捲りはキタサンブラックを打ち負かせるのか?ーー宝塚記念に向けて - ずんどば競馬

ゴールドアクター

池江寿調教師が宝塚記念に送り込むミッキークイーン - ずんどば競馬

ミッキークイーン

横山典騎手とゴールドアクターが紡ぐ2分10数秒のドラマーー宝塚記念展望 - ずんどば競馬

というわけで、残る有力馬はシュヴァルグランです。

 

シュヴァルグラン 5歳牡馬

天皇賞・春の捲りはいかにもHaloクロスらしい俊敏さで、◎にした甲斐がありました。

ハーツクライ産駒は京都のGⅠではなかなか勝てず、今年のシュヴァルグランを含めて天皇賞・春は4年連続で2着。

シュヴァルグランにとっては舞台が阪神の内回りに替わるのは適性としてはプラスで、福永騎手が積極的な捲りを打つのなら宝塚記念でも、と思わせるだけの馬です。

心配があるのは、前走の天皇賞・春はデキがピークだったこと。藤原英厩舎はGⅠをピンポイントで好走させる力があり、それだけにシュヴァルグランの最大目標が天皇賞・春だったことを考えるとここでは……。ただ、力は足りるので、昨年のような不利がなければ好走するチャンスは十分にあります。

スタミナのある馬なので、来年はぜひキングジョージに挑戦して欲しいですね。

 

春のグランプリだから

春のグランプリ宝塚記念はファン投票によって選ばれるレースです。今年はキタサンブラックが圧倒的1番人気+11頭の少頭数ですから、馬券の回収率など気にせずに「勝って欲しい馬」、「凱旋門賞を走って欲しい馬」に◎を。

◎サトノクラウンの単勝であれば、当たっても外れてもレース観戦代としては十分です。

 

まとめ

堀センセイ、もし宝塚記念をサトノクラウンが勝ったら凱旋門賞への登録をお願いします。1次登録にはその名前がなくて寂しい思いをしたので。

サトノダイヤモンド、キタサンブラック、サトノクラウンが揃って凱旋門賞に出ることになったら、それだけで胸が熱くなって……。

宝塚記念がシャンティイの2400mへと続くレースになることを願って。

 

皆様にとっても素晴らしい春のグランプリレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。