3歳春のダート路線の最大目標と言えるユニコーンSは例年、GⅠ・フェブラリーSを見据える素質馬・有力馬がズラリと集まる注目の1戦です。
今年は全日本2歳優駿を制したルヴァンスレーヴ、OPの青竜S勝ち馬グリム、ヒヤシンスSと鳳雛Sを好走したグレートタイムの3頭が上位人気に推されています。M・デムーロ騎手が乗るルヴァンスレーヴがやや抜けた人気になっているものの、現3歳世代のダート路線はハイレベルの混戦。それだけに、「あっ!」と驚く人気薄の馬が好走しても不思議ではありません。
ルヴァンスレーヴとグレートタイム
ルヴァンスレーヴとグレートタイムの2頭は血統について解説記事を書いているので、よければ以下をご覧下さい。
ここでは、この2頭について簡単に触れておきます。
ルヴァンスレーヴ 3歳牡馬
父:シンボリクリスエス
母:マエストラーレ(母父ネオユニヴァース)
厩舎:萩原清(美浦)
ルヴァンスレーヴはデビューから全日本2歳優駿まで3連勝を飾り、この世代のダート路線のトップレベルに位置する1頭。前走の伏流Sは素質馬ドンフォルティスに負けはしましたが、休み明けを考えれば悲観する内容ではありませんでした。
Roberto3×5のクロスをもち、しなやかさよりもパワーに優れたタイプ。また、父シンボリクリスエス×母父ネオユニヴァース×母母父ティンバーカントリーと代々にわたって中距離馬がかけられており、1800m以上の距離がベストです。
3連勝の内容からも直線の長いコースよりは小回り向きの馬だけに、東京ダート1600mで「能力全開」となるのかが最大のポイントと言えるでしょう。ユニコーンSを好走するためには、競争能力が適性を上回れるのかにかかっています。
グレートタイム 3歳牡馬
父:キングカメハメハ
母:ミラクルレジェンド(母父フジキセキ)
厩舎:藤原英昭(栗東)
母ミラクルレジェンドは牝馬限定の地方交流重賞を7勝した名牝。父のキングカメハメハは母の特長をストレートに表現する産駒を多く出すので、グレートタイムもパワータイプでしょう。
母が中距離馬とあって、マイル戦でハイペースになったときに不安があります。また、それほどしなやかさを感じさせないですし、東京ダート1600mであればパサパサの良馬場がベター。
新種牡馬ヘニーヒューズ
現3歳が初年度産駒となるヘニーヒューズはバイラとダンケシェーンの2頭がユニコーンSに出走。アジアエクスプレスの全弟となるレピアーウィット(父ヘニーヒューズ×母ランニングボブキャッツ)が除外となったのは残念ですが、出走する2頭はともに好配合なので、期待がもてます。
ヘニーヒューズは代表産駒のアジアエクスプレスが芝GⅠの朝日杯FS(中山芝1600m)を制しているように、パワーだけではなくしなやかさも伝える種牡馬。そのため、直線の長いコースと軽いダートがベターです。馬場が渋るようなら、バイラとダンケシェーンはより楽しみが広がりますね。
もし、東京ダート1600mはベストな舞台と言えるレピアーウィットが出走していたら、迷わず◎にしていただけに残念です……。
予想
東京は金・土曜日と雨の予報が出ており、日曜日にパサパサの良馬場まで回復するのかは微妙なライン。馬場が渋って軽いダートになるなら、Seattle Slew→A.P. Indyやヘニーヒューズに向く馬場となります。パワーだけではなく、しなやかさのあるタイプをピックアップしたいですね。
展開
東京ダート1600mで行われるユニコーンSは1200〜1400mがベストなタイプも出走することから、ハイペース(前傾ラップ)になるのがデフォルト。また、3〜4でガクンとラップが落ちた場合は、4コーナー手前から馬群が縮まるので、外から勢いを付けた差し・追込み馬に向く展開となります。
今年は1200〜1400mをビュンビュンと飛ばす逃げ馬が不在とあって、どこまでペースが速くなるのかがポイント。逃げ候補としては最内枠に入ったセイウンクールガイ、トキノパイレーツ、ハーベストムーンの3頭。横山典騎手のダンケシェーンはこのメンバーならハナを主張するかもしれませんが、大外枠とあってそれほどムリをするとは……。
騎手と枠の並びからセイウンクールガイが押して押してのハナが有望で、そこに先行馬が殺到する展開でしょう。
しなやかストライドの馬をピックアップ
先に上げた展望記事でも書いたように、直線の長い東京ダート1600mで軽いダートであればA.P. Indy系とヘニーヒューズに代表される「しなやかストライド」の馬をピックアップします。
Seattle Slewを引く馬
プロスパラスデイズ(A.P. Indy経由)
ベストマイウェイ
ルヴァンスレーヴ
(内枠から降順)
ルヴァンスレーヴはRoberto3×5のパワータイプなので、しなやかさに欠ける分だけ割引です。ベストマイウェイは父Point of Entryがパワー優先のRoberto系に加えて、母系に入るEl Pradoが小回り向きの器用さを強く伝えるだけに東京コースがずんどばかは「?」が付きます。
プロスパラスデイズはNorthern Dancer3×5の強いクロスをもつもののストライドが伸びるで、東京コースは合うでしょう。ただ、こちらも軽いダートがベストなのかは「?」が……。
というわけで、軽いダートが合うヘニーヒューズを父にもつ2頭のどちらかに◎をと思ったものの、ともに1400mベストなだけにどうしましょうか……。
◎ダンケシェーン 3歳牡馬
父:ヘニーヒューズ
母:ゼフィランサス(母父キングヘイロー)
厩舎:昆貢(栗東)
母ゼフィランサスはGⅠ馬ローレルゲレイロと4分の3同血で、現役時代には芝・ダートを問わずにJRA3勝の活躍馬。そこにヘニーヒューズが配されたダンケシェーンはしなやかさの優れたダート馬に出ました。
ベストは1400mとは言え、マイル戦にも勝ち鞍があるだけに、直線の長い東京コースなら期待ができます。前向きな気性と揉まれ弱さをもつので、スムーズな追走ができる大外枠は歓迎。逃げ馬が不在とあって、横山典騎手が「あっ!」と驚く逃げの手に出ることも……。
◯バイラ 3歳牡馬
父:ヘニーヒューズ
母:コウエイテンプウ(母父デヒア)
厩舎:川村禎彦(栗東)
ヘニーヒューズ産駒らしいしなやかなストライドで走る馬。1400mベストのマイラーですが、馬場が軽くなるならマイルでもヒケを取りません。馬群に揉まれてもOKのタイプで、この枠なら有力馬を見ながらの競馬ができるはずで◯に。
2・3着候補として
2・3着にも軽いダートの合うタイプを拾います。候補は以下の6頭。
セイウンクールガイ
プロスパラスデイズ
グリム
コマビショウ
リョーノテソーロ
エングローサー
もともとユニコーンSは荒れない重賞なので、3連単の2着候補は上位人気のグリムとコマビショウの2点でOK。
人気の薄いところで期待しているのはヨハネスブルグ産駒のセイウンクールガイとしなやかなストライドで走るエングローサーの2頭です。
買い目
馬単と3連単を買います。
馬単
1着:10. 15
2着:10. 15. 1. 3. 7. 9. 12. 13
3連単
1着:10. 15
2着:7. 9
3着:1. 3. 7. 9. 12. 13
まとめ
ユニコーンSは上位人気の馬が強い重賞です。ただ、今年は混戦だけに思わぬ人気薄の馬が好走する可能性も十分にあります。予想通りにヘニーヒューズ産駒のワンツーになるのか、レースが楽しみですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。