ハープスターに似たアーモンドアイはオークス(2018年)を好走できるのか?ーー展望

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牝馬クラシックの第2冠・オークスは東京の芝2400mで行われ、中距離馬としての資質だけではなく、直線の長いコースでしなやかにキレる脚が使えるのかも問われるレースです。桜花賞がコース改修によって直線の長い外回りへと変わり、オークスと強い結びつくようになったのは、どちらのレースも「しなやかにキレる」かどうかが大きなポイントだからでしょう。

 

しなやかにキレたアーモンドアイ

今年の桜花賞は4コーナーから直線にかけて、レースを観戦した誰もがため息をもらすような、驚くほどに柔らかいフォームでストライドを伸ばしたアーモンドアイがバキューンと弾ける脚で勝利を飾りました。

1人気のラッキーライラックが直線で堂々と先頭に立ったところを、アーモンドアイは美しいストライドで並ぶ間もなく差し切ったのですから、弾ける脚が1枚上だったと言うしかありません。この誰の目にもあきらかなしなやかなストライドは高い競争能力の賜物です。

直線の長いコースのマイル戦であれば、この馬の弾ける脚が1枚抜けていることは間違いないものの、これを東京の2400mで再現できるのかが今年のオークスにおける最大のポイントとなります。

 

アーモンドアイと似た桜花賞馬は?

先にも述べたように、桜花賞とオークスは密接な結びつきをもつようになりました。そのため、オークスを好走するには桜花賞でどのようなパフォーマンスを引き出せたのかがもっとも重要です。過去10年の桜花賞馬はオークスで以下の成績を上げています。

過去10年、桜花賞馬とオークスの成績

2017年

桜花賞1着:レーヌミノル

→オークス13着

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2016年

桜花賞1着:ジュエラー

→オークス不出走

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2015年

桜花賞1着:レッツゴードンキ

→オークス10着

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2014年

桜花賞1着:ハープスター

→オークス2着

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2013年

桜花賞1着:アユサン

→オークス4着

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2012年

桜花賞1着:ジェンティルドンナ

→オークス1着

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2011年

桜花賞1着:マルセリーナ

→オークス4着

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2010年

桜花賞1着:アパパネ

→オークス1着

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2009年

桜花賞1着:ブエナビスタ

→オークス1着

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2008年

桜花賞1着:レジネッタ

→オークス3着

2015年のレッツゴードンキと17年のレーヌミノルはあきらかにマイラー(1600m以下の距離に適性をもつ)ですから、オークスで2桁着順になるのは仕方ありません。この2頭と不出走のジュエラーを除けば、桜花賞馬がオークスで好走していることがわかります。

過去10年の桜花賞馬をズラリと並べてみて、アーモンドアイとイメージが似ているのは16年ジュエラー、14年ハープスターの2頭。国枝厩舎の3冠馬アパパネは「ビュン」とした脚をもちますが、これは「しなやかに弾ける」というよりも「俊敏な加速」で抜け出すタイプなので、イメージに合いません。ブエナビスタは「ズドーン」と弾ける脚をもち、現役馬で言えばリスグラシューに似たタイプでしょう。

 

アーモンドアイとハープスター

ジュエラーとハープスターはともに「しなやか」なフットワークで走る馬でしたが、この2頭を比べてよりマイラー性能が高いのは後者です。

ハープスターは桜花賞2着のレッドリヴェールがダービーに挑戦したこともあり、オークスでは単勝1.3倍の支持を集めることになりました。ところが、誰もが「負ける」ことを想像しなかったハープスターは、直線で先に抜け出したヌーヴォレコルトを捕らえられず、このレースで2着と敗退してしまうのです。

さて、今年のオークスで最後の直線を先に抜け出しているのは、おそらくラッキーライラックになるでしょう。後方からバキューンと弾ける脚を使ってアーモンドアイが差せるのか……。ここが大きなポイントとなります。

 

ハープスターのオークスでの敗因は?

ハープスターの直線における末脚は1頭だけ際立っていて、この「しなやか」かつ「パワフル」なストライドは才女と呼ぶのにふさわしいもの。ゴール前でヌーヴォレコルトと同じような脚色になったことからも、この馬にとっては2400mの距離が長かったのだと言えます。

また、鞍上の川田騎手が全体のペースが緩んだ3コーナーで後方へ下げてしまったことも、この馬の距離適性な対する「不安」が意識の中にあったからでしょう。少なくともハープスターはバリバリの中距離馬ではありませんでした。

 

アーモンドアイは1800mベストの中距離馬

新種牡馬ロードカナロアの代表産駒はアーモンドアイとステルヴィオの2頭。この2頭はフットワークや気性面などが似ており、ともに「直線の長いコース」と「1800m以上の距離」に適性をもっています。

アーモンドアイやステルヴィオがマイルの距離だと後方からの競馬になってしまうのは、ともに前進気勢の薄い穏やかな気性をもち、距離適性が1800m以上の中距離馬だからです。

ハープスターも「かかる」ことのない穏やかな気性のもち主ですから、オークスや札幌記念などの中距離でも大崩れなく好走しました。ただ、この馬も1600〜1800mがベストで、2400mの距離を克服したのは競争能力の高さによるものです。

アーモンドアイの血統や走りについては以下の記事に詳しく書いているので、よければそちらをご参照下さい。

 

アーモンドアイはオークスを好走できるのか?

フットワークの「しなやかさ」と身体の「柔らかさ」はアーモンドアイがハープスターを上回ります。オークスはどうしてもペースの緩急がつくレースになりやすく、昨年のように4コーナーを器用に回れるかも大切なポイントです。

アーモンドアイはここまで「後方からバキューン」という大味な競馬をすることが多く、4コーナーから動けるのかどうかは「?」が付きます。もちろん、スプリングSのステルヴィオのように、1800mに距離が延びたことでいつもより前目のポジションを取れる可能性もあり、ルメール騎手がかかることを怖れなければ、中団で流れに乗るシーンも十分です。

穏やかな気性ということもあって、距離延長で前目のポジションが取れればオークスでも好勝負になります。前目のポジションを取りきったときに、桜花賞のような素晴らしい脚を使えるかは未知数ですが……。血統や走るフォームからは東京芝2400mに大きな不安はありません。

 

中5週のローテーション

アーモンドアイの不安点を上げるとすれば、馬個体の能力というよりも、中5週とこれまでよりも詰まった間隔でGⅠを好走できるのかどうか……。

これまで放牧明けで好結果を出してきたアーモンドアイが、オークスでは中5週の仕上げに変わるのですから、不安はソコだけでしょう。国枝厩舎は3冠馬アパパネを管理していただけに、その力をここで発揮できれば……。

 

まとめ

今年のオークスはアーモンドアイとラッキーライラックの2強と言われています。この2頭のどちらかが勝つのか、それとも桜花賞とは別路線組の馬が勝つのでしょうか?

3歳牝馬による熱き戦いが今から楽しみですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。