GⅢ関屋記念('17年)予想ーースローペースを抜け出すヤングマンパワーに◎を

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サマーマイルシリーズの第2戦「GⅢ関屋記念」はJRA最長を誇るホームストレッチをもつ新潟競馬場を舞台に行われます。GⅢ中京記念(中京芝1600m)で重賞初制覇を上げたウインガニオン、「異次元の末脚」で2年前の新潟2歳Sを制覇したロードクエスト、58kgの斤量を背負いながら初のマイル戦を楽勝したメートルダールが人気の上位に支持される今年の関屋記念。真夏のマイラー決定戦を制するのはどの馬なのでしょうか?

 

関屋記念は平穏な決着が続く古馬マイル重賞

 過去5年を見ても、1〜3人気が揃って馬券圏内を外すことはなく、3着以内に2桁人気の馬が入線することもありません。'15年は2→6→9人気の決着だったために3連複の配当も1万円を超えましたが、馬連からも平穏な決着が続いていることがわかります。

 

関屋記念の過去5年の配当

着順 人気 馬連 3連複 3連単
2016 1 3 4,350 5,340 34,040
2 7
3 1
2015 1 2 3,800 25,190 109,570
2 6
3 9
2014 1 4 1,990 7,000 39,800
2 1
3 6
2013 1 4 1,220 2,620 17,110
2 1
3 3
2012 1 1 1,590 6,650 24,190
2 5
3 8

先週のレパードSのように、創設されてから8年間続けて堅い決着だったレースが突然大荒れすることもあるわけですから、傾向はあくまで傾向として頭の片隅に置いておきましょう。

 

人気上位馬について

今年の関屋記念で上位の人気に支持される3頭、ウインガニオン、ロードクエスト、メートルダールについて1頭ずつ見ていきます。

 

ウインガニオン 5歳牡馬

父:ステイゴールド

母:チャンネルワン(母父:ポリッシュネイビー)

厩舎:西園正都(栗東)

前走、サマーマイルシリーズの第1戦「GⅢ中京記念」で重賞を初制覇。その勢いに乗ってここへ参戦してきました。このレースを勝てばシリーズチャンピオンが確定するだけに力の入る1戦となります。中京記念についてはレースの回顧記事を書いているので、そちらをご覧いただければ幸いです。

GⅢ中京記念('17年)は「外差し」も「波乱」もない決着にーー回顧 - ずんどば競馬

ウインガニオンは6〜8月の成績が(7 - 0 - 0 - 1)の夏馬で、左回りが(7 - 0 - 0 - 3)と全8勝の内7勝をこの条件で上げています。すんなりとハナに立って押し切るのが勝ちパターン。ただ、前走の中京記念では逃げ馬と大きく離れた2番手から直線で抜け出して快勝したように、近くに馬がいなければ折り合いもスムーズにつくタイプなので、大外枠に入った今回は「逃げ」にこだわらないレースができそうです。

JRA最長を誇るホームストレッチで争われる関屋記念ですが、逃げ・先行馬の活躍が目立つレース。マルターズアポジー、マイネルハニーなど前々からレースを進める馬が揃い、ウインガニオンにとっては思い通りのレースを作れるのかが鍵になります。また、土曜日(12日)の芝1400mで争われたメインレースの新潟日報賞(1600万下)で1分19秒8とレコードに0.8差の速い時計が出ていたことから、1分31秒台の時計に対応できるかもポイント。

 

ロードクエスト 4歳牡馬

父:マツリダゴッホ

母:マツリダワルツ(母父:チーフベアハート)

厩舎:小島茂之(美浦)

新潟2歳Sを「異次元の末脚」でぶっこ抜いた素質馬で、NHKマイルCではメジャーエンブレムの2着などこのメンバーに入っても実績はヒケをとりません。東京や新潟などの直線の長いコースでキレる脚を使えるストライド走法の馬ですが、中山のGⅢ京成杯オータムハンデ(芝1600m)を快勝しているようにコーナーを器用な脚さばきで走れるはBold Rulerクロスの影響でしょう。

やや体質が硬く感じるので、筋肉がほぐれる夏の暑い時期は合っていて、新潟コースも「ドンと来い!」ですから、ここは好結果を求められるレースになります。本質的に1800mがベストの馬で、直線の長い新潟外回りのマイル戦であればペースはやや緩んだ方がベター。1番人気9着と敗退したGⅢ富士Sのように極端なスローからの上り勝負だとストライド走法が活きません。マルターズアポジーがどのようなペースで逃げ、先行馬がどのように絡んでいくのかがこの馬の好走にとっては大きなポイントになりますね。

 

メートルダール 4歳牡馬

父:ゼンノロブロイ

母:イグジビットワン(母父:Silver Hawk)

厩舎:戸田博文(美浦)

2歳〜3歳春にはクラシックトライアルで再三好走をしていた馬で、前々走のGⅢ新潟大賞典で1番人気(3着)に支持されたように能力は重賞級。前走は初のマイル戦を楽勝したことからここへ参戦してきました。

母父のSilver Hawk(Roberto直仔)らしいパワフルな走りと器用な脚さばきから、本質的には内回り・小回り向きの馬。前走の東京のマイル戦はドスローを俊敏な脚さばきで抜け出したという勝利で、新潟の外回りのマイル戦で能力全開となるのかは「?」がつきます。ただ、前走のようにペースががっつりと緩めば、この馬のパワーと俊敏さが活きる展開になるのですが、今回はマルターズアポジーがいるだけに……。新潟の外回りコースでは無類の強さを発揮するM・デムーロ騎手の手綱さばきでどこまで……。

 

予想

展開としては、マルターズアポジーがよほどのことがない限りはハナへ立ってレースを引っ張ります。このメンバー構成であれば、マルターズアポジー鞍上の武士沢騎手の腹づもりひとつでどのようなペースでも作れます。マルターズと2番手以降の間にはスペースができることから、スローに落としても誰も前を追いかけることは考えられず……。まさかのスローもあり得るので、そこは頭の片隅に入れておきたいところです。今回のレースは平均なのか、それともスローで流れるのかによって好走馬がガラっと変わるので、どちらに決め打ちするのかも予想をする上で大切なポイントです。

 

◎ヤングマンパワー 5歳牡馬

スンナリと外目を追走したい(揉まれ弱い)ヤングマンパワーにとって、ウインガニオンとマイネルハニーが外枠に入ったのはマイナス。ただし、この枠の並びであれば石橋脩騎手はスタートを出してマルターズアポジーの番手を狙って行くはずで、その積極的な気持ちが好ポジションを取れる要素となります。ややスタートに難のあるウインガニオンが外から被せてくるのであれば、引いて外目に切り替えることも可能なメンバーですから、昨年の関屋記念と同じように上りのかかるところをじわりと先行抜け出しで。

スパッとキレるタイプがダノンプラチナとロードクエストの後方待機勢。ヤングマンパワーが先行してタイミング良く抜け出してしまえば、ウインガニオンやダノンリバティ、マイネルハニーのジリ脚勢は押さえられるはずで、後はキレ味タイプの追撃を凌げるのかどうか……。

マルターズアポジーは小倉大賞典と前走の七夕賞のハイペース逃げのイメージが付いている馬ですが、溜め逃げもできるタイプなのでここは平均よりも緩いペースに落とす公算が大。例年の関屋記念通り、逃げ・先行での決着が濃厚です。

 

◯マルターズアポジー 5歳牡馬

機動力に特化した血統構成で、外回りのマイル戦であればスローの逃げがベター。前走のレース内容からもマルターズアポジーに鈴を付けに行く馬はいないでしょう。この馬が逃げて2番手以下とスペースができるようであれば、きっちりとペースをコントロールしての逃げ残りに期待します。現在の速い時計の出る新潟の芝もバッチリと合っていて、マークが薄くなる今回はあれよあれよが……。逃げの巧みな武士沢騎手が今回はどのようなペースを作るのかに注目しましょう。

 

2、3着候補として

以下は2、3着候補として。今回はマルターズアポジーがスローで逃げる想定で、直線の長いコースでもピッチ走法で一瞬の加速に優れたタイプをピックアップします。

 

△レッドレイヴン

ピッチで内回り・小回りを捲る脚に優れた馬で、今年の夏は函館・札幌競馬場に向かわずに東京→中京→新潟と直線の長いコースに続けて出走しています。スローになればそのパワーと俊敏さでちょろっと3着に入る力はもっているだけにピックアップ。

 

△ロサギガンティア

こちらもBold Rulerのクロスで器用なタイプ。直線の長いコースではキレ負けするように、新潟だとスローが希望。マルターズアポジーがスローで逃げるのであれば俊敏なピッチで加速してきます。

 

△トーセンデューク

ペースはスローでなくともOKで、こちらは藤原英昭厩舎枠としてピック。厩舎の複勝率が4割オーバーですから、これだけ人気がないのであれば押さえます。内枠に入らなければ◎や◯も考えたのですが、ここだと小崎騎手が馬群をさばくのに手間取りそうで……。

GⅢ関屋記念('17年)は藤原英昭厩舎のトーセンデュークに期待して - ずんどば競馬

 

△メートルダール

スローペースだとこの馬の器用さが活きます。M・デムーロ騎手が乗るので人気になっていることから、ヒモとして押さえるかどうかは微妙なところです。

 

買い目

まずは◎と◯の馬連から。メートルダールが3着に入って配当が低くなる可能性が高いので、ここは3連単も。

 

馬連

11 - 3

 

3連単

1着:11. 3

2着:11. 3. 4

3着:11. 3. 4. 2. 5. 6

 

まとめ

スローにならなければ「アウトー!」な予想。とは言え、ここは武士沢騎手がしっかりとペースを緩めてくれると決め撃ちして。皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。