Bコース変更で内枠と先行馬が有利になるのか?ーー高松宮記念(2017年)展望

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4週連続のGⅠレース開催が、高松宮記念(中京芝1200m)から幕開けします。

手に汗握るスプリント戦ですが、昨年の覇者ビッグアーサーシルクロードステークスを勝ったダンスディレクターの回避で、今年は人気の中心になる馬が不在の混戦模様。ロードカナロアがターフを去った後のスプリント路線の王者は不在のまま。ここでスプリント戦線の新チャンピオンが生まれることを期待したいです。

 

高松宮記念のポイント

今年の高松宮記念のポイントは3つあります。

 

1. 中京の馬場が高速化?

2016年、高松宮記念開催週の中京芝はレコードが4つも飛び出す時計が速い馬場になりました。

 

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'16/3/26 10R岡崎特別 4歳以上1000万下 芝1200m

1着:シゲルチャグチャグ

タイム:1:07.4(コースレコード

 

'16/3/27 7R 4歳以上500万下 芝1200m

1着:ロイヤルストリート

タイム:1:07.3(コースレコード

 

'16/3/27 10R名古屋城特別 4歳以上1600万下 芝2200m

1着:グリュイエール

タイム:2:09.9日本レコード

 

'16/3/27 11R高松宮記念 GⅠ 芝1200m

1着:ビッグアーサー

タイム:1:06.7コースレコード

 

土日で日本レコードを含む4つのレコード決着が続出したことで、「どうしてこんなに時計が速いの?」と話題になったのは記憶に新しいところです。高松宮記念が行われるのは中京開催の最終週ですから、レース数を重ねる毎にコースの内側の馬場が傷み、時計がかかるのが一般的です。ところが、昨年はまさかの高速馬場に変化してしまいました。

時計が速くなった要因はさまざまだと思いますが、その内のひとつとして考えられるのが最終週のコース変更です。高松宮記念が行われる週はそれまでのAコースからBコースへと変更されます。柵を移動して内側の芝をカバーするので、比較的に傷みの少ない馬場が内ラチ沿いに出現し、逃げ・先行馬が力を発揮しやすい舞台へと変わるのです。

また、今年は開幕週の芝1400mでコースレコードが出ていて、その後のレースタイムを見ても、それほど馬場が傷んでるとは思えない中でのコース変更ですから、より高速化する下地は揃っています。

 

もしインベタ馬場になったとしたら

内側にグリーンベルト(競走馬にとって走りやすい芝)ができると、内枠+逃げ・先行馬に有利なインベタ馬場になります。

2012年、中京コースがリニューアルをしたばかりの頃は路盤が柔らかく芝が重い状態だったので、外差し有利の傾向が存在しました。時間の経過とともに路盤が締まり、露骨な外枠+差し・追い込み有利の馬場ではなくなりましたが、中京の芝コースに対して当時のイメージのままの競馬ファンの方は特に注意が必要です。

GⅠに出走する馬は能力がある馬たちばかりですから、馬場の有利不利によってがらっと着順が変わってしまうこともあります。そのため、インベタ馬場なのかどうか、土日のレースを通してしっかりとチェックしなければいけません。

 

2. ピュアな逃げ馬が不在

高松宮記念出走登録馬を眺めると、ピュアな逃げ馬がいないことに気付きます。逃げないとあっけなく負けてしまう馬や、どんなレースでもハナを取り切る馬がいないとなるとペースが読みにくく、予想をする時に想定しなければならない展開があれもこれもとたくさん出てきてしまいます。そうなると、どの馬を軸にするかも迷ってしまいますよね。

また、近年のスプリント戦ではペースによって好走する馬が変わります。

 

前傾ラップなのか後傾ラップなのか

例えば、1200mを1:07.0で走ったとして、前半の600m、後半の600mに分けた次の2つのラップを比較してみるとーー

前半33.0 - 後半34.0

前半34.0 - 後半33.0

どちらも合計タイムは同じになりますが、上が前傾ラップ、下が後傾ラップと呼ばれるものになります。一般的に、スプリントGⅠは前傾ラップになることが多かったのですが、一昨年のスプリンターズSは34.1 - 34.0、昨年は33.4 - 34.2と1.0秒以上前半が速いラップは刻まれなくなっています。

 

前傾ラップ(前半600m>後半600:差1.0秒以上)

前半3Fが32秒台に突入するような前傾ラップでは1200mを専門とするようなピュアスプリンターが活躍します。理由は、前半追走に脚を使ってしまうため、1400m以上に距離適性のある馬は厳しくなるからです。

 

後傾ラップ(前半>後半:差0.9秒以内〜前半<後半)

後傾ラップになると、ピュアスプリンターよりも1400mがベストの馬でも走れてしまいます。理由は1400m以上に距離適性のある馬でも追走が楽になり、脚が溜まりやすいからです。

 

ピュアな逃げ馬がいれば、ある程度流れは読みやすくなりますが、不在の場合は速くなるのか遅くなるのか、どちらに転ぶのか分かりません。

例えば、昨年のスプリンターズSの覇者レッドファルクスは1400mがベターですから、後傾ラップの方が得意な馬です。CBC賞などはその典型で、33.8 - 33.4の後傾ラップを33.2の強烈な末脚で勝っています。

前傾、後傾のどちらになるかで好走する馬も変わってくるので、予想する上での大きなポイントの1つになりますね。

 

3. 人気馬の取捨

人気を集めそうな馬は以下の馬たちです。それぞれに不安な点を抱えています。

 

レッドファルクス 牡6歳馬

'16年スプリンターズSの覇者。昨年末に行われた香港スプリント以来3ヶ月半の休み明けで高松宮記念に参戦します。

上記にも書いたように1400mがベストな馬で、スプリント戦では後傾ラップで強さを発揮します。 また、明け6歳馬ですから加齢によるスピードの衰えが多少でもあるかどうかが不安です。

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シュウジ 牡4歳馬

前走の阪急杯では単勝1.6倍の支持を裏切って8着と敗退しました。敗因が不明で体調や精神面で立て直しができているのかは走ってみないとわかりません。

イスラボニータを鮮やかに差した昨年の阪神Cの走りから、おそらく今回も先行〜差しの戦法になると思いますが、走ることに前向きな気性で折り合いが難しいのがネック。快勝した阪神Cは道悪が残る馬場に脚を取られた分かからずに追走できたので、高松宮記念では戦法も含めてどのような走りをするのかが注目です。

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メラグラーナ 5歳牝馬

前走オーシャンSで初重賞制覇となった5歳牝馬。南半球産で成長が遅れている分、5歳になって完成形に近づいてきました。ただ、スプリントの一線級と対戦するのが今回が初めてですし、高松宮記念で好走するためには持ち時計を1秒弱は詰めなければならないなど課題も多くあります。

父Fastnet Rockのパワーで先行して粘り込む競馬が適性としては合っていますが、ここ数戦は差し競馬。パワーで駆け上がるスプリンターなので、上りが速くなりすぎるようなレース(後傾ラップ)は本質的に不向きです。

 

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まとめ

まずは、Bコースへの変更でどのような馬場傾向になるのか、土曜日の芝レースには注目です。

内枠の逃げ・先行馬がばんばん残るようなインベタに変わっているとしたら…

 

以上、お読みいただきありがとうございました。