弥生賞GⅡ(中山芝2000m)は3歳牡馬クラシック1冠目の皐月賞トライアル。
クラシックを狙う牡馬の有力どころが集う舞台。
今年はオープン競走を勝っている馬がカデナ(京都2歳S GⅢ)とコマノインパルス(京成杯 GⅢ)の2頭で、オープンで3着以内に入った馬もダンビュライト(サウジアラビヤRC GⅢ 2着、きさらぎ賞 GⅢ 3着)、グローブシアター(ホープフルS GⅢ 3着)の2頭といくらか寂しい組み合わせとなりました。
出馬登録していた堀厩舎のバリングラが回避したのはいくらか残念なところ…
今回は人気を集めそうな、カデナ、コマノインパルス、ダイワキャグニーについて。
1番人気になるのは
1番人気に支持されそうなのは、京都2歳S(GⅢ)を勝利しているカデナ。
◯カデナ
臨戦過程
百日草特別ではクイーンC(GⅢ)を完勝したアドマイヤミヤビの2着だったものの、直線で追い出しを待たされるロスがあったことを考えると上々の内容。続く京都2歳Sは内回りをものともせずにスパッと切れる脚を披露して、一躍クラシック候補生と呼ばれるようになりました。
京都2歳Sを勝った後は成長を促すために放牧に出して、この弥生賞が復帰戦になります。
血統
ディープインパクト×フレンチデピュティは昨年の弥生賞、ダービーを勝ったマカヒキ、秋華賞とJCを勝ったショウナンパンドラなど活躍馬が多数の組み合わせ。
コースのポイント
中山の芝2000mは後半の800mからペースが上がる持続力勝負になりやすい舞台ですが、弥生賞はトライアルということもあって皐月賞より道中のペースが中だるみするため、カデナのようなスローからの瞬発力を持ち味とする馬でも好走できるのがポイントです。
メンバー比較
出走メンバーを見てもどの馬が逃げるのか分からないほどに前で粘る馬が少なく、この頭数ということもあって、道中はスローになりそうです。
スローであればカデナの斬れ味が十分に発揮されそうですが…
不安点
カデナの不安点を挙げるとすれば、以下の3つ。
1. クラシックを見据えての試走のため、折り合い重視のレース(クラシックに出走するための獲得賞金がすでに足りている)をする。
2. 前に行く馬が薄く、スローからの残り800mの持続戦ですぱっとした足が使えるかどうか。
3. 田辺騎手のコマノインパルスがカデナを意識した位置取りをするのではないか。
カデナは皐月賞、ダービーに出るための賞金を獲得しているため、弥生賞で「何が何でも3着以内」とか「勝たなければならない」という縛りがありません。
ただ、レースの内容は重視して臨むはずで、折り合いときっちり脚が使えるかを試すレースをするはずです。
カデナにとって避けたいのは、前半スローからの残り800mからの持続力勝負になること。4角を回っての上がり勝負であれば問題ありませんが、3角からペースが上がってしまって直線で届かずは十分に考えられます。
田辺騎手は人気の馬をどのように負かすかを考えて乗るので、道中の位置取りによってはカデナをインに押し込んで外に出させないレースをすることもあり得ます。騎乗予定のコマノインパルスも人気を集めるでしょうから、もちろん自身が勝つことを目指す上での戦法になるはずですが。
カデナは人気に応えられるのか?
弥生賞はそれほど大きく荒れないレース。
馬場が特殊(重や不良)であったり、明らかにメンバーレベルの低い戦いだと、人気薄が連対をすることもありますが…
今年の弥生賞は頭数も落ち着きましたし、乱ペースも考えにくく、カデナが力を出し切れないレースになる確率は低いかな、と。
◯コマノインパルス
父:バゴ
母:コマノアクラ(母父フジキセキ)
前走の京成杯で重賞を制覇。弥生賞と同じ中山芝2000mの重賞を勝っているのは大きな強みですね。
京成杯
前走の京成杯は前半3Fが36.9で入り、道中もペースが上がらないスローの流れ。スローにも関わらず、逃げたメリオラ以下の先行馬が4角早々で手応えが怪しくなりバテ始めたので、インでじっとしていた馬(ベストリゾート)はほとんど前が壁になり脚を使うことができませんでした。
コマノインパルスは外をスムーズに追走し、3角ではいつ捲るかを測るかのように余裕の手応え。
田辺騎手は中山の芝ではいつも見事な捲りを打ちますが、コマノインパルスも鞍上の絶妙な仕掛けに乗って外を伸び、2着ガンサリュートの捲りを凌いで勝ちました。
好走のポイントは?
コマノインパルスは鞍上が田辺騎手というのが最大の魅力で、今回も捲りに構えるでしょうから、ペースが流れた時に京成杯のような脚を使えるかがポイント。
また、田辺騎手がカデナをどれほど意識するかも予想の上では重要でーー
・カデナに出し抜けを食らわすような捲り
・カデナをインに押し込めてからの捲り
ある程度カデナの動きを封じるような作戦だと。
コマノインパルスが3着内を外すとしたら、カデナを意識し過ぎて脚を余す、あるいはペースが流れ過ぎて脚を使えない時くらいでしょうか。
◯ダイワキャグニー
父:キングカメハメハ
母:トリプレックス(母父サンデーサイレンス)
前走で負かしたエトルディーニュ(2着)は共同通信杯でもスワーヴリチャードの2着に善戦するなど、この世代のモノサシになる馬です。
ダイワキャグニーも一定の能力は担保されています。
注目点
ダイワキャグニーは新馬戦とセントポーリア賞を連勝し、その2戦の上がりがそれぞれ、34.0と33.4。2レースともに道中はスローですから、上がりのタイムは速くて当然なのですが、面白いのは後半3Fの1Fごとのタイムです。
新馬戦:11.7 - 11.6 - 11.5
セントポーリア賞:11.4 - 10.8 - 11.5
上記はレースの上がりタイムなので、4角でほぼ先頭に並びかけたセントポーリア賞はそのままダイワキャグニーのものと考えてもいいですが、驚きは新馬戦。
失速しないレース上がりを差し切っており、これは優秀。東京の芝コースは直線の坂を駆け上がってからの1Fはスピードの惰性で乗り切るので、基本的にタイムが落ちるのが普通です。残り1Fを失速しないで上がりをまとめたというのは、持続力のある脚をもっているという証拠になります。
また、一転してセントポーリア賞は上がりだけの競馬を33.4の脚で完勝と、異なる後半3Fのタイムに適応しているのは能力があるからだと言えますね。
弥生賞でも
今年の弥生賞はおそらくスロー。
外枠に入ったので、道中は内に包まれることもなさそうですし、スムーズに先行の形であれば力は発揮できそうです。
中山コースですから、さすがに後半3Fだけの競馬になることは考えにくく、鞍上の北村騎手がどこで仕掛けるかが注目です。
弥生賞よりも道中のペースがタイトな本番の皐月賞のことを考えると、ここで持続力のある脚がどれくらいあるのかを測っておきたいところ。
まとめ
重賞2勝馬のブレスジャーニーが弥生賞を回避したのは残念ですが、クラシックに向けて楽しみな対戦になりました。
今年の3歳牡馬はレベルが疑問視されていますが、そうした声を吹き飛ばすようなハイレベルなレースを観たいものです。