朝日杯FS(2017年)は人気薄のライトオンキューとファストアプローチに期待してーー予想

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2歳のマイル・チャンピオンを決める「朝日杯FS(GⅠ・阪神芝1600m)」は、「大物」と称されるタワーオブロンドンとダノンプレミアムの2頭が出走を予定しており、来春のNHKマイルC(GⅠ・東京芝1600m)やクラシックを占う意味でも重要な1戦です。

藤沢和雄調教師+C・ルメール騎手の「ゴールデン・コンビ」がその素質に惚れ込むタワーオブロンドン、新進気鋭の中内田充正調教師の初GⅠ制覇を託されたダノンプレミアムの2頭については、週中に詳しい解説記事を書いたので、よければご覧下さい。

現在の阪神芝は速い時計の出るコンディションになっており、サウジアラビアRCでダノンプレミアムが出した1分33秒0の2歳レコードが更新される可能性も十分にあるだけに、ハイレベルな争いが期待できます。

 

タワーオブロンドンはマイルに対応できるのか?

今年の朝日杯FSの最大のポイントは、上位人気に推されるタワーオブロンドンが「初距離となる1600mを走れるのか?」という点です。

主戦のC・ルメール騎手がこの馬を「第2のロードカナロア」、「1200〜1400mがベスト」と評していることがメディアでも取り上げられ、「マイルの距離は長いのでは?」と不安視される声も聞こえます。

確かに、重厚感のあるムチムチの馬体はパワー・スプリンターのソレですし、デビュー2戦目のクローバー賞(札幌芝1500m)はラストの100mでバッタリと止まってしまっことからも、現時点でのタワーオブロンドンのベスト距離は1400mでしょう。

 

朝日杯FSは1400mベストのタイプも好走

朝日杯FSが中山芝1600m→阪神芝1600mへと変更された2014年からの3年間で、毎年1頭は1400mベストのタイプが好走しています。

朝日杯FSの過去3年間

2016年

勝ちタイム:1分35秒4

上り3F:11.5 - 11.2 - 12.1

1着:サトノアレス(6人気)

2着:モンドキャンノ(7人気)

3着:ボンセルヴィーソ(12人気)

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2015年

勝ちタイム:1分34秒4

上り3F:11.9 - 10.8 - 11.7

1着:リオンディーズ(2人気)

2着:エアスピネル(1人気)

3着:シャドウアプローチ(11人気)

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2014年

勝ちタイム:1分35秒9(稍重)

上り3F:12.2 - 11.3 - 12.6

1着:ダノンプラチナ(1人気)

2着:アルマワイオリ(14人気)

3着:クラリティスカイ(3人気)

赤色でマークした馬たちは1400m>1600mという適性をもつ馬たちで、「マイルの距離は長い」と考えられたため、人気薄での好走となりました。

過去3年の勝ちタイムからわかる通り、朝日杯FSは阪神JFと時計がほぼ同じか遅くなるのがデフォルトです。スローバランスになることが多く、直線の半ばの1Fで10秒後半〜11秒ソコソコの瞬発力で抜け出した馬にチャンスが生まれます。

この「スローペース+ラスト2F目が速い」というのが1400mベストの馬にぴったりのレース質になっているのでしょう。そのため、1400mベストの馬が馬券圏内に入れるのが朝日杯FSです。

 

1400mベストの馬がマイルを好走するには?

1400mベストの馬がマイルを好走するには上記以外にもう一つ他の条件があり、それは「高速決着(速い時計がマークされる)」になることです。

マイルもこなせる1400mベストの現役馬はレッドファルクスがパッと思い浮かびます。この馬が3着に好走した今春の安田記念は1分31秒5の高速決着でした。この他にも、1400mベストの馬が古馬マイルGⅠを勝つときは、ほとんどが1分31秒台の決着になります。

1400mベストのマイルGⅠ馬

・ストレイトガール

2015年ヴィクトリアマイル1着

1分31秒9

2016年ヴィクトリアマイル1着

1分31秒5

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・ロードカナロア

2013年安田記念1着

1分31秒5

ストレイトガールとロードカナロアはスプリントGⅠ馬で、1400mがベストのタイプ。この2頭はいずれもマイルGⅠを1分31秒台で制しています。スタミナよりもスピードを求められる質のレースになれば、スプリント色の強い馬でもマイル戦を乗り越えられ、そのためには全体の時計が速くなることが「マスト」。

タワーオブロンドンは2歳馬なので、1分31秒台の時計で走るのはムリがあるものの、高速馬場となっている阪神芝のコンディションを考えると、1分33秒0の2歳レコードを更新するような速い時計の決着がベター。理想は前後半800mが46.5 - 46.5のイーブンなバランス+中弛みのないペースです。

 

中内田厩舎の2頭は最内枠へイン!

中内田厩舎のダノンプレミアムとフロンティアの2頭は最内枠に入りました。この2頭は先行馬なので、スムーズにポジションを取れるかどうかが鍵になります。

ダノンプレミアムは1分33秒0で1600mを走破しているように、前半800mが46秒台に入ってもOKのスピードとパワーに優れたマイラー。それに対してフロンティアは前半よりも後半800mが速くなるレースがベターです。

 

ピュアな逃げ馬が不在

「先行」したいケイティクレバーは大外枠。デビューから5戦全てが2000mの距離を使われており、マイル戦でどれほどの出脚を発揮できるのかは未知です。

1200〜1400mを安定して先行しているアサクサゲンキは、同馬を管理する音無調教師が「控える」競馬を示唆しており、これも「逃げ」る可能性が低く……。

この2頭をのぞくとピュアな逃げ馬が不在。もしかすると、最内枠に入ったフロンティアが思い切って逃げ、ペースを先導するかもしれません。

 

ダノンプレミアムの不安はスローの瞬発力勝負

1人気に推されるダノンプレミアムは、これまで34秒を切る上がりをマークするレースを経験していません。ケイティクレバーの逃げでペースが上がらず、スローからの瞬発力勝負になったときに不安があります。

ケイティクレバーがあまりにもスローで逃げた場合は、フロンティアとダノンプレミアムの2頭がどれほど積極的に仕掛けていくのかが鍵になるでしょう。そう考えるとフロンティアの逃げも現実性を帯びてきますね。

 

予想

今年の朝日杯FSは、どのようなペースになるのかが大きなポイントです。ドスローの3F勝負であれば1400mベストのタワーオブロンドンも対応できる可能性がありますし、ペースが流れて1分33秒ソコソコなレースであればダノンプレミアムが優勢に。

面白いのは、どちらのペースになってもタワーオブロンドンは好走の可能性があるということです。この馬にとって合わないのは、前後半800mが47.5 - 46.5=1分34秒0などのレースになること。1分34秒台の決着だと距離適性の差が出てしまうでしょう。

 

ペースはスローを想定

これだけ前半から飛ばして行く馬が少なければ、常識的にペースはスロー。ただ、このようなスロー濃厚なときに限ってペースが流れるのが競馬というもので、怖いのはその点だけ。

とは言え、どちらかにペースを張らないと予想も難しくなるので、ここはスローに決め打ちします。ここ3年と同じような質のレースになると考えれば、ラスト2F目で「グン」と加速できるタイプをピックアップ!

 

ライトオンキュー 2歳牡馬

父:Shamardal

母:グレイトタイミング(母父:Raven's Pass)

厩舎:昆貢(栗東)

騎手:四位洋文

タワーオブロンドンと同馬主のH・H・シェイク・モハメド殿下の所有馬で、上品な血統と馬体をもっています。新馬戦→未勝利戦ともに極端なスローにはならず、上りの脚とスピード能力を求められるレースでした。

とくに新馬戦(京都芝1400m)はスタートしてすぐの1F以外は全て11秒台のラップになったことから、ライトオンキューが重賞の締まったペースで追走に苦しむことはないでしょう。

2戦ともに騎手が馬をコンロールできないシーンはなく、折り合いも終始スムーズ。京都→阪神とコースは替わるものの、同じ関西圏のレースとなることから大きな不安はありません。

この馬の血統やレースぶりについては他の記事で詳しく解説しているので、よければ以下の記事をご覧下さい。

ダノンプレミアムやタワーオブロンドン、ステルヴィオなどの素質馬を相手に、ライトオンキューがどのような走りをするのかに注目しています。

 

ファストアプローチ 2歳牡馬

父:DawnApproach

母:ジョリージョコンド(母父:Marju)

厩舎:藤沢和雄(美浦)

騎手:V・シュミノー

母ジョリージョコンドはサトノクラウンと英スプリントGⅠ馬ライトニングパールの全姉。ファストアプローチはGalileo系の父DawnApproachのパワーを受け継いだ馬体や、札幌2歳S2着と芙蓉S(中山芝2000m)2着の内容からも、小回りをパワーで捲るのが真骨頂です。

コーナーを捲れるということは、「俊敏に加速できる」証なので、直線の長いコースであればスローからの瞬発力勝負がベスト。藤沢和雄厩舎は、V・シュミノー騎手かC・ルメール騎手でないとOP以上のレースを勝てないことから、この乗り替わりは大きなプラスと言えます。

重賞2着馬で母系の質も高くGⅠで格負けする馬ではないのにこの人気。この馬が勝ってもまったく驚けません。

 

タワーオブロンドン 2歳牡馬

スローからの瞬発力勝負であれば、この馬も。こちらはファストアプローチよりもストライドが伸びるパワータイプなので、直線の長いコースそのものは苦にしません。1400mベストの加速力で突っ込んでくるシーンも十分に。人気になる分だけライトオンキューやファストアプローチよりも下げで。

 

上記の3頭以外だと

上記の3頭以外だと、過去3年の人気薄で好走した馬に共通するパターンとしては、カシアスとアイアンクローの2頭が該当。とくに後者は単勝300倍超の15人気とあって、配当的な妙味の大きな1頭。

 

買い目

ライトオンキューとファストアプローチ、タワーオブロンドンの3頭は1着を取れる可能性のある馬なので、この3頭からの馬単を。3連複は配当の妙味を考えて、2頭軸流しの馬券を組みます。

 

馬単

4. 8. 3 →4. 8. 3. 11. 13

 

3連複2頭軸流し

1軸目:4. 8

2軸目:4. 8

3軸目:3. 11. 13

 

まとめ

ライトオンキュー、ファストアプローチ、タワーオブロンドンの3頭はすべて名牝Touch of Greatnessの血が入っています。今年の朝日杯FSはTouch of Greatnessの血を引く3頭に期待します。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。