GⅢ共同通信杯(2018年)に出走するグレイルはここで好走することができるのか?

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2歳の中距離チャンピオンを決めるホープフルS(中山芝2000m)が新GⅠとして創設されたことから、「内回り・小回り向き」の牡馬はクラシック第1弾の皐月賞(GⅠ・中山芝2000m)まで、直線の短いコースに絞ったローテーションを組めるようになりました。

共同通信杯に出走予定の素質馬グレイルは、内回りコースのラジオNIKKEI杯京都2歳S(GⅢ・京都芝2000m)を鮮やかに勝ち切ったことから、皐月賞の有力候補と目される1頭です。前走でホープフルSの勝ち馬タイムフライヤーを寄せ付けない走りを見せたことから、共同通信杯では圧倒的な人気に推されることは間違いありません。

今回の記事ではグレイルが直線の長い東京コースに替わって、前回以上のパフォーマンスを出せるのかについて簡単に考察します。

 

共同通信杯に出走予定のグレイルについて

共同通信杯の2014〜17年の勝ち馬はイスラボニータ、リアルスティール、ディーマジェスティ、スワーヴリチャードと3歳春のクラシックで連対を果たしています。また、15年2着のドゥラメンテは皐月賞とダービーの2冠に輝いており、共同通信杯はクラシックと結びつきの強いレースです。

このレースは東京芝1800mで行われることから、しなやかにストライドを伸ばして走る馬が優勢なものの、ディーマジェスティやリアルスティールのように小回り向きのパワーと機動力に優れたタイプの馬が「素質」で好走してしまうこともあります。

グレイルが共同通信杯を好内容で勝ち切ってしまうとなれば、皐月賞だけではなくダービーに向けても大きく展望が拓けると言えるでしょう。

 

グレイル 3歳牡馬

父:ハーツクライ

母:プラチナチャリス(母父:ロックオブジブラルタル)

厩舎:野中賢二(栗東)

生産:ノーザンファーム

未曾有の不良馬場となった菊花賞(GⅠ・菊花賞)の当日に行われた新馬戦(京都芝2000m)をもち前のパワーで余裕十分に快勝し、続く京都2歳Sは後のGⅠ馬タイムフライヤーを寄せ付けないハイ・パフォーマンスを見せました。

2戦ともに京都芝2000m内回りのコースを走り、異なる馬場状態でも好結果を残したのは、高い能力の証明と言えます。今走は初めて直線の長いコースとなることから、ストライドを伸ばした走りができるのかに注目です。

 

血統

母プラチナチャリスはダービー卿CT(GⅢ・中山芝1600m)の勝ち馬ロジチャリス(父ダイワメジャー)を出した好繁殖牝馬。プラチナチャリスは強大なパワーを誇るデインヒルの血を引き、自身はNorthern Dancer4×4のクロスをもつため、早期に筋肉を付けたいハーツクライとは好相性です。

グレイルも半兄と同じようにパワーに優れた競走馬で、不良馬場の新馬戦をスイスイと駆け抜けたのは、母系に入るパワーのなせる業だと言えます。母系にしなやかなBlushing Groomの血が入ることで、直線の長いコースでもOKの配合ですが、ベストは小回り・内回りコース。

直線の長い東京でのしなやかなキレ味勝負だと分が悪いので、できればペースは流れて欲しいところです。イメージとしてはしなやかさの足りないスワーヴリチャードという配合。

 

共同通信杯に向けて

パンパンの良馬場で高速決着になると不安が残るので、ややタフなコンディションと言える現在の東京芝はグレイルに合っています。先週の東京競馬場の芝レースはハーツクライ産駒が多く好走していたこともこの馬を後押しするでしょう。

ワンターンの東京芝1800mは器用さよりもしなやかにキレる脚が求められるため、パワー型のグレイルにとってはこのレースが試金石となります。Northern Dancerのクロス+デインヒルの血を引くハーツクライ産駒と言えば、昨年の牝馬クラシック戦線を賑わせたアドマイヤミヤビがいますが、重厚な伸び脚を見せられるのかに注目です。

 

不安点は?

ノーザンファーム生産馬なので休み明けは大きなマイナスになりません。このレースにおけるグレイルの不安点はたった1つ。

野中賢二調教師の厩舎力

野中賢二厩舎はこれまで3歳クラシックで上位の人気になるような素質馬を預託されていませんでした。そのため、クラシックを戦い抜くための経験の少なさが難点となります。

ノーザンファーム生産馬ということもあって、仕上げなどは外厩でしっかりと乗り込んでいるでしょうから、初の長距離輸送などをクリアできれば……。野中厩舎にとっても大一番のレースと言えるでしょう。

 

クラシックへの試金石

グレイルにとっての共同通信杯は、皐月賞だけではなくダービーを占う意味でも大切な1戦です。これまで内回りコースしか経験のない同馬が、直線の長いコースでどのような走りをするのか……。

母系からはBlushing Groomなどのスピード血脈も入ることから、アドマイヤミヤビのような重厚なストライドで他馬をナデ斬ることができるかどうかが試されます。ここをスカッと勝つようなら、ダービーも楽しみなる1頭です。

 

まとめ

今年の3歳馬は、デビューからハイ・パフォーマンスの3連勝を上げているダノンプレミアムとワグネリアンが世代の中心に位置しています。グレイルがこの素質馬2頭を上回るようなパフォーマンスを共同通信杯で叩き出せるのかな注目ですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。