春のスプリント・チャンピオンを決めるGⅠ高松宮記念(中京芝1200m)はスプリンターズSを連覇したレッドファルクスが1人気に推されています。
「世界のロードカナロア」がターフを去ってからのスプリント路線は、コロコロと重賞の勝ち馬が変わるほどの混戦模様。そのなかにあってスプリントGⅠで安定した成績を残しているレッドファルクスに人気が集まるのはごく自然なことです。
この馬が高松宮記念を制し、スプリント路線の「王者」に君臨することになるのでしょうか?
中京芝はややタフなコンディション
2016年の夏に「暗渠排水材」を設置した中京芝コースは排水性が向上し、12年にリニューアルしたばかりの頃に多発した「タフな外差し馬場」が現れにくくなりました。
3月24日(土)の中京競馬場は週中にまとまった雨が降った影響で、時計(上り)のかかるコンディション。12R終了時点でも「稍重」のままだったので、日曜日にどこまで「乾く」のかはポイントでしょう。
Bコース替わりの影響は?
2016年から高松宮記念の行われる中京の最終週はA→Bへとコースが替わります。内から3m分の芝が仮柵で保護され、インもしっかりと伸びる状態になるのがデフォルトです。
土曜日のレースは1600mよりも長い距離では外差しも決まるものの、1200m戦の岡崎特別はインコースを通った馬が1〜3着となったように、「タフな馬場=外差し」とは異なるコンディションと言えます。
高松宮記念は1400mベストの馬が上位人気に
今年の高松宮記念で単勝オッズが10倍を切る人気に推されているのは以下の4頭。
レッドファルクス:2.6倍
ファインニードル:5.7倍
レッツゴードンキ:6.5倍
ダンスディレクター:8.9倍
(1人気から降順。オッズは前日17時のもの)
赤色でマークしたのは1400mがベストの馬たち。上位人気の3頭がこれに当てはまっており、現状のスプリントGⅠは「ピュア・スプリンター」の出走が少なくなっています。これについては週中に詳しく解説してるので、よければ以下の記事をご覧下さい。
1400mがベストの馬は後傾ラップがお好き?
1400mがベストの馬にとって、1200mのレースにおける負けパターンは「道中の追走で脚がたまらない」ことです。そのため、レースが前半3F33秒0前後のペースで流れると、直線でしっかりと脚を使えないこともあります。
レッドファルクスが初重賞制覇となった16年のCBC賞において、前後半3F「33.8 - 33.4」の流れを後方から差し切ったように、1400mベストの馬は後傾ラップになるのがベストです。
2015〜17年のスプリンターズSを制したのは、1400mベストのストレイトガールとレッドファルクスの2頭。それではこの3年のレースラップを見てみましょう。
▼過去3年のスプリンターズS
2015年
ストレイトガール
前後半3F:34.1 - 34.0
-----------------------------------
2016年
レッドファルクス
前後半3F:33.4 - 34.2
-----------------------------------
2017年
レッドファルクス
前後半3F:33.9 - 33.7
過去3年のスプリンターズSは16年こそ0.8秒の前傾ラップになっているものの、スプリントGⅠとしてはあきらかに遅いペースとなっています。このようなペース・バランスになると、1600mのGⅠでも好走できるしなやかなスプリンターがビュンと差し切ってしまうのです。
✳︎ストレイトガールは1600mのGⅠヴィクトリアマイルを連覇し、レッドファルクスは安田記念を3着の実績があります。
しなやかスプリンターが多い理由は?
近年のスプリント路線が前傾ラップになりにくいのは理由があって、それはしなやかな体質を強く伝えるサンデーサイレンスの血をもつ馬が多いことによります。
日本の芝中距離路線を世界のトップレベルにまで押し上げた大種牡馬のサンデーサイレンスは、しなやかさな体質と素晴らしい瞬発力を産駒に伝えました。この「柔らかさ」はパワーでゴリゴリと先行するスプリンターにとっては不要であり、サンデーサイレンスの血を引く馬はどうしてもしなやかに差すタイプになってしまいます。
レッドファルクスの母父がサンデーサイレンスからも、このしなやかな血の遺伝がいかに強いのかがわかるでしょう。この血が薄くなるにつれ、また香港スプリントでも通用するような「パワー・スプリンター」が現れるのではないでしょうか。
高速馬場+後傾ラップなら馬券は簡単!
高松宮記念が高速馬場+後傾ラップになるのであれば、馬券は簡単です。Twitterにも書いた通り、3連単1点でOK!
高松宮記念の枠順が確定した後の雑感。
— 白三点 (@hakusanten) 2018年3月23日
「高速馬場」+「平均〜後傾ラップ」になるなら、3連単は1点でOK。
1着:レッドファルクス
2着:ダンスディレクター
3着:ファインニードル
ヌルいペースのスプリントGⅠで馬場の渋化がないなら、レッドファルクス→ダンスディレクターの線は崩れにくい。
近年のスプリントGⅠは緩いペースのレースが連発していることから、また「しなやかスプリンターが差し切ってしまう」レースになるでしょう。
でも、昨年のスプリンターズSの予想でも書いたように、そんな「後傾ラップ」のスプリントGⅠはもう……食傷気味です。パワースプリンターたちがゴリゴリと先行し押し切る、個人的にはそれを期待しています。
今年の高松宮記念は2015年のヴィクトリアマイルをイメージして!
GⅠにおける3連単の最高配当となった2015年のヴィクトリアマイルは、1人気ヌーヴォレコルト、2人気ディアデラマドレなどの中距離馬が上位人気に推されたレースでした。そのため、逃げたミナレットの作った速いペースに、マイルよりも長い距離に適性のある馬たちは直線で脚を使うことができず凡走。それに代わって、1400〜1600mの距離を得意とする人気薄の馬が好走を果たしました。
今年の高松宮記念は1400mベストの馬たちがこぞって上位の人気に推されているので、ピュアスプリンターが前傾ラップを作れば、「3連単の高配当が!」と考えて予想します。狙うは100万超馬券です。
3着に人気薄の逃げ馬
まずは3着候補としてミナレットのような人気薄の逃げ馬を探します。候補は2頭です。
ネロ
ラインスピリット
昨年の京阪杯を制したネロは時計がかかるとパフォーマンスが上がる馬だけに、今のタフな馬場はマイナスではないものの、もう少し渋って重くならないと苦しい……。
大外枠に入ったラインスピリットは枠も人気もミナレットに酷似しており、そう、あの時のヴィクトリアマイルも今年の高松宮記念と同じく「内枠有利」が囁かれていましたよね。
というわけで、大外から強引にハナを叩いて逃げ粘ると踏んで、3着にはラインスピリットをマークします!
1着と2着は?
2015年のヴィクトリアマイルはハイペースで短距離のスピードを活かした5人気ストレイトガールが勝ち、2着は2番手を先行して粘り切ったケイアイエレガント。これに当てはまる馬を探します。
1着候補は1200mがベストなピュア・スプリンターを5番人気のなかから選びます。そもそも高松宮記念は6人気以下は勝てないので。そうすると、浮かび上がるのは1200mの重賞を先行して勝っているファインニードルのみ。
2着は先行できる馬でそこそこ人気薄のスプリンターを。候補は2頭です。
ナックビーナス
ネロ
1分9秒台のレースになるならネロでもいいものの、今の中京の芝はそこまで時計がかかっていない印象も……。ナックビーナスはいかにもケイアイエレガント的な香りがぷんぷんと漂っているので、これをピック!
買い目
100万馬券を狙っていくので、もちろん、3連単で勝負します。買い目は先に述べた通り。
3連単
1着:9
2着:7. 12
3着:18
日和って2着にはネロも追加します。この買い目なら100万円を超えるはずです。
まとめ
今年の高松宮記念は「内枠有利」などと言われているように、人気が内枠に偏っています。現在の上り時計のかかる中京芝を考えても1200mベストのスプリンターが前傾ラップを作るのなら、レッドファルクス、レッツゴードンキ、ダンスディレクターには苦しい流れに……。
そう、2015年のヴィクトリアマイルをイメージして……。ラインスピリットがミナレットのようになれるように祈っています。
皆様にとっても素晴らしいレースになりますように。
以上、お読みいただきありがとうございました。